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【要約&書評】ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」

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今回は、坂本貴志さん著の『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』を紹介していきます。

皆さんは、今後日本の経済はどのように進んでいくと思いますか?

おそらく、そんなのわからないとと感じるかたも多くいると思います。

今後の経済がどうなるか完璧に予想することはできませんが、日本で生活して、働き続ける以上、いま日本経済はどうなっているのか、そして今後どうなるのかを知ることは、必ずプラスな情報になるはずです。

そこで本書では、リクルートワークス研究所研究員・アナリストとしてご活躍されている坂本さんによって、データと著者の取材をもとに、現在の日本経済とこれからについて解説されています。

この記事では、その本書の中から、日本の労働生産性は実は低くない、賃金は上がり始めているの、2つについて紹介していきます!

 

ほんとうの日本経済の要約

日本の労働生産性は実は低くない

日本人は他の国の人と比べて、生産性が低いという話を聞くことがよくあると思います。

日本のGDPは、長い間、アメリカのついで2位でしたが、日本経済は長らく低迷しており、2010年には中国に抜かれ、最近ではドイツに逆転されて、4位まで順位が下がってしまっています。

では、これほどまでに、長い期間、経済が低迷してしまったのは、日本人の生産性の低さが原因なのでしょうか?

実際に、OECDが出している2010年以降の実質GDPの成長率をみてみると、先進6カ国(アメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ、フランス)と比べて、日本の成長率は最下位となってしまいます。

では、労働生産性はどうなっているかというと、日本の労働者の1時間あたりの労働生産性は、2000年から2010年にかけて、年率1.1%で伸びています。

また2010年から2021年までの間では、年率0.9%伸びており、ここ最近の労働生産性成長率は、ドイツやアメリカに次いで、高い水準になっているのです。

そのため、日本の労働生産性は先進国と同じように着実に上がっており、日本経済の低迷の原因は、必ずしも日本人の生産性の低さだとは言えないのです。

では、日本経済の低迷の原因はなんなのか?

本書では、総労働数時間の減少が根本原因として考えられると書かれています。

先ほどと同じように、先進国6カ国と比較すると、2010年〜2021年の間で総労働数時間が減少したのは日本だけであり、労働投入量が他国と比べて低下していることがわかります。

労働投入量が減少しているのには、少子高齢化により、人口そのものが減っていること、全体を占める割合は、高齢者が増え、若いもの世代が減っていることが原因として考えられます。

最近では、女性の社会進出や定年退職後も働き続ける人が増えており、以前よりも労働投入量の減少は抑えることができていますが、すでに日本の就業率は他国と比べても高い水準にあり、就業率を上げることで、労働投入量の減少を抑えることは、いずれ難しくなってしまいます。

このように、労働投入量が減少してしまうのは、出生率の低さが根本的な原因となっていますが、日本の出生率だけが低いわけでなく、今では先進国で共通しているトレンドになっているのです。

では、なぜ日本以外の主要先進国では、出生率が低下しているのにも関わらず、人口の減少が緩やかで、労働投入量が減少していないのか?

その理由が移民の受け入れです。

主要先進国の移民の割合は、日本が1〜2%とダントツで低く、他の国は約10%以上と高い水準にあります。

特にドイツは移民の受け入れに対して積極的であり、人口減少が進む中、移民の受け入れが、経済を成長させる原動力となっているのです。

とはいえ、移民の受け入れは経済の成長というプラスの作用だけがあるわけではありません。

治安の悪化や社会福祉制度の負担が増えるなど経済的負担、文化の衝突などさまざまな問題も、移民問題として挙げられています。

そのため、移民の受け入れを積極的にしている主要先進国では、移民受け入れは、経済問題と並んで、最大の政治的論点になっているのです。

現状では、日本の移民の受け入れは、あまり進んでいませんが、労働投入量の減少の抑止が今後難しくなっていくことを考えると、日本でも移民の受け入れの是非がより大きな話題になるかもしれません。

 

賃金は上がり始めている

日本人の賃金は安すぎるということが度々話題になっています。

実際に厚生労働省の「毎月勤労統計調査」では、日本人の実質の年収は水準は1996年にピークをつけて以降、ずっと下がり続けています。

国際的にみると、イタリアを除いて、日本ほど長期的に実質の年収水準が上昇していない国はないのです。

しかし、著者は本書の中で、賃金を年収水準で比較することに疑問を投げかけています。

確かしに日本の実質の年収水準は下がり続けていますが、1990年代当時に働いていた日本人は、20代〜40代の働き盛りの男性ばかりでした。

ですが最近では、女性や定年後のシニアなど、短い時間で働く人が増えています。

また最近では、労働者の平均労働時間が減少しており、経済の実態を掴むためには、年収や月収水準の平均値だけでなく、時給水準を見るべきなのです。

では、時給水準はどうなっているのかというと、過去日本人の給与は長らく低迷してきたことがわかります。

実質時給は1997年にピークをつけてから、2015年まで、ほぼ横ばいで推移してきています。

しかし、2010年代半ばから現在にかけては、それまでとは異なって、緩やかに上昇していっており、年収水準とは逆の動きを見せているのです。

名目時給は、2012年に2138円と底をつけて以降、上昇を続けており、2023年には2418円まで上がり、10年間で12.2%の増加となっています。

近年、時給が上昇しているのにも関わらず、年収水準では上昇していないのには、労働時間が大幅に減っていることが原因として考えられます。

日本人の労働時間は、他国と比べても、長い傾向にあり、よく日本人は働きすぎだと言われていました。

しかし、2000年から2022年にかけて日本人の年間の労働時間は200時間も減って、1626時間となっており、欧州先進国に近い水準になっているのです。

このように、時給水準は上がっているのにも関わらず、労働時間が減っていることで、日本人の間では賃金が上がっていないという認識が広まっているのです。

では、なぜここ最近、時給水準が上がってきているのか?

もちろん、最低賃金が上がっていることも一因ではありますが、人手不足が大きな要因として挙げられます。

著者は地方や中小企業の経営者から、最近は人が採れないと話を聞くことが増えたそうですが、この話は、単に人が採れないという意味ではなく、これまで通りの賃金水準では人が採れなくなったという側面が強いのです。

人手不足が深刻化すれば、人員を確保するために、企業側は賃金を上げてなければいけません。

そして、日本の人口減少はこれからも進んでいくことが予想されており、人員を確保するために賃金を上げる動きは、これからも続くと考えられます。

また、人口減少が進んでいくということは、それだけ優秀な人の数も減っていくということです。

そのため、他の企業に負けないように、優秀な人材を確保するためには、自社の利益水準に関わらず、賃金水準を引き上げる必要があります。

最近では、大手企業の初任給の引き上げが、多くニュースで取り上げられていますが、先見性のある企業が、自社の発展のため、賃金を引き上げて、優秀な人材を囲い込もうとしているのです。

このように、賃上げをしなければ、他社に人材獲得競争で負けてしまうという認識がもっと広まることで、企業間での賃上げ競争が起き、労働市場全体で賃金上昇の動きが広まっていくと考えられます。

そのため、近年起こっている賃上げは、一過性のものではなく、今後の日本経済では、多くの人が予想する以上に、賃金が力強くかつ自律的に上がっていく局面を経験すると著者は書かれています。

 

本書では、この記事では紹介しきれていない、日本経済でこれから起こることについて、まだまだ解説されています。

また、各業界でどのように機械化や自動化が行われているのかについても詳しく解説されておりますので、今後の日本経済がどのように進んでいくのかを知りたいという方は、是非本書を読んでみてください!

 

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ではでは。

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