今回は、マイケル・バンゲイ・スタニエ氏著の『アドバイスしてはいけない』を紹介していきます!
皆さんには、リーダーになってから部下の仕事の管理が増えてしまい、毎日仕事が終わらせられない、チームのメンバーが主体性を持って動いてくれないといった悩みはないでしょうか?
本書はそういった方に役立つ1冊です!
今のチームでリーダーがアドバイスをすることが当たり前になってしまっている、アドバイスをしないと仕事が進まないと考えてしまっている方は、アドバイスの罠にハマってしまっている可能性があります。
そこで本書では、なぜアドバイスをすることが当たり前になってしまうといけないのか、また組織やチームをよりよく導くためにリーダーは何をするべきなのかが書かれています。
この記事では、その本書の中から、アドバイスの罠、アドバイス・モンスターの手なづけ方、リーダーは何をするべきか?の3つについて紹介していきます。
アドバイスしてはいけないの要約
アドバイスの罠
部下の仕事にあれこれアドバイスをしてしまう人は、悪意があってやっているわけではなく、その部下のためや、チームとして仕事が早く進められるようにやっているという方が多いと思います。
または、部下に任せて失敗してしまうのが怖いから、口を出してしまうという方もいるかもしれません。
しかし本書では、リーダーがアドバイスをするのがデフォルトになっていると、次の4つの悪影響が出ると書かれています。
①アドバイスを受ける人がやる気をなくす
②アドバイスをする人が忙殺される
③結果を出せない職場になる
④組織全体の変革を妨げる
『アドバイスをしてはいけない』より
それぞれの悪影響について、これから詳しく紹介していきます。
まず1つ目は、①アドバイスを受ける人がやる気をなくすです。
人は、自主性、専門性、目的意識の3要素によって動機づけられると言われています。
しかし、部下が上司からあれこれ指示を受けて、自分のアイデアを出す余地が与えられないと、この3つの要素は削がれてしまいます。
そのため、アドバイスを受けるほど、部下の動機づけが弱くなってしまい、やる気を失ってしまうのです。
そして、組織にはリーダー以外に、自らリーダーシップを発揮して挑戦しようという気になる人がいなくなってしまい、リーダーに頼りってばかりの組織になってしまうのです。
続いて2つ目が、アドバイスをする人が忙殺されるです。
部下にアドバイスを与えることが普通になってしまうと、普段の自分の仕事に加えて、部下の仕事にも手をかけなくてはいけなくなってしまいます。
それでは、自分の仕事だけでなく、他人の仕事もやらなければいけない状態になってしまい、新たな価値を生む仕事に取り組む時間や労力がなくなってしまいます。
そのため、仕事があまりにも多すぎるという場合は、部下の仕事を管理しすぎていないか見直すことが大切です。
続いて3つ目が、結果を出せない組織になるです。
ここまで紹介したように、リーダーがアドバイスをすることが当たり前になってしまうと、アドバイスをさせる側はやる気を失い、アドバイスをする側は忙殺されるようになってしまいます。
当然それでは、それぞれのメンバーの力がうまく発揮されず、組織全体で結果が出せない集団になってしまうです。
最後に4つ目が、組織全体の変革を妨げるです。
変化の激しい現代の中で、組織もそれに対応していかなければいけません。
しかし、組織が、常にアドバイスをくれるリーダーにおんぶにだっこでは、仕事の進め方や、組織としてのあり方は、現状維持され、変革を起こすことができなくなってしまうのです。
以上4つが、リーダーがアドバイスをするのがデフォルトになっていることで起こる悪影響です。
部下の仕事に口を出しすぎているなと感じる方は、今のチームや組織がこの4つに当てはまっていないかを振り返ってみてください!
アドバイス・モンスターの手なづけ方
本書では、常にアドバイスしたがってしまう、アドバイス・モンスターには、次の3つの顔があると書かれています。
①教えたがり
②助けたがり
③コントロールしたがり
『アドバイスしてはいけない』より
もしかしたら、皆さんもこの3つの顔に当てはまっている覚えがあるかもしれません。
では、これらのアドバイス・モンスターを手なづけるためには、どうすればいいのか?
本書では、次の4つのステップで手なづけることができると書かれています。
①きっかけは何か
②問題を認める
③ほうびと罰
④「将来の自分」
『アドバイスしてはいけない』より
まずステップ①のきっかけは何かでは、何をきっかけにアドバイス・モンスターが暴れ出すのかを考えていきます。
同じ組織の中でも、口を出したくなる人もいれば、あまり口を出さずに済む人もいると思います。
他にも、会議だと口を挟みたくなるなど、状況によっても、アドバイス・モンスターが暴れてしまうケースもあると思います。
アドバイス・モンスターをてなづけるためには、まずはどんな場面で、暴れ出してしまうのかを知る必要があります。
続いて2つ目のステップでは、自分の問題行動を認めていきます。
ステップ1で挙げた、アドバイス・モンスターが暴れ出してしまう場面を思い返して、実際に自分がどんな行動をしてしまっているのかを考えましょう。
相手の話を遮って自分の話をしてしまう、相手に意見を尋ねることをしない、会議の主導権を握ろうとするなど、先ほどあげた3つのアドバイス・モンスターの顔ごとに、とってしまう行動があると思います。
このように、自分がどのような行動をとってしまっているのかを考えて、それを問題行動として認めましょう。
そして3つ目のステップのほうびと罰では、ステップ2であげた行動がもたらす、利益とコストを考えていきます。
例えば、相手の話を遮って自分の話をしてしまうという行動には、自分の意見を話すことで自分が気持ちよくなれるという利益がある一方で、部下が意見を出さなくなってしまう、リーダーの指示待ちになってしまうというコストがあると考えられます。
この利益とコストを挙げることで、自分の問題行動によって起こる代償をみにしみて感じることができます。
最後に4つ目のステップの「将来の自分」では、何を得るために、今の自分を変えようとしているのかを考えていきます。
そこで、アドバイス・モンスターではなく、新しいリーダーシップを確立したときの利点を挙げていきましょう。
例えば、教えたがりのアドバイス・モンスターの場合は、アドバイスを与えるのではなく、部下が自分で問題解決できるように後押しすることで、部下が成長するといった利点が考えられると思います。
このように、新しいリーダーシップを確立した時の利点を考えることで、アドバイス・モンスターから抜け出すための原動力を手に入れることができます。
以上、4つのステップによって、アドバイス・モンスターをてなづけることができ、口ばかり挟んで、管理しすぎようとしてしまうリーダーから生まれ変わることができるのです。
リーダーは何をするべきか?
ここまで、リーダーがアドバイスをすることがデフォルトになってしまうことへの弊害と、リーダーがアドバイス・モンスターをてなづけるための方法を紹介しました。
では、リーダーはアドバイスではなく、何をすればいいのか?
その答えは、コーチングです。
本書では、コーチングにおいて大切なのは、次の2つの行動であると書かれています。
①相手に関心をより長く持ち続ける
②急いでアドバイスしようとするのではなく、ゆっくり時間をかける
『アドバイスしてはいけない』より
この2つの行動は、練習を通して習慣化することができます。
そして、コーチングを実践するためには、効果的な質問が数多く紹介されていますが 、この記事ではその中から4つを厳選して紹介していきます。
まず1つ目が、「何か気になっていることはありますか?」です。
会話の最初に、この質問をすることで、完璧なスタートを切ることができます。
続いて2つ目が、「あと、他には?」です。
著者は、この質問を、世の中で最も優れたコーチングの質問であると書いています。
「何か気になっていることはありますか?」と聞いて、1番最初に出てきた話が、最も重要な話だとは限りません。
皆さんも、話しているうちに、どんどん気持ちが昂ってきて、本音が出てきた、本当な悩みを打ち明けたということがあると思います。
そのため、話題を相手が最初に話し始めたことだけに限定する必要はなく、本当に重要な話題を探るために、「あと、他には?」という質問が重要なのです。
そして3つ目の質問が、「あなたにとって、ここで取り組むべき本当の課題は何だと思いますか?」です。
別にもっと取り組むべき課題があるのに、それを放置してしまっては、うまくコーチングをすることはできません。
だからこそ、相手に取り組むべき本当の課題は何かを質問して、正しい方へ導くことが大切です。
最後に4つ目の質問が、「何をしたいですか?」「何を望んでいますか?」です。
相手が、取り組むべき課題に対して、どんなアプローチを取りたいのか、またどんな結果を望んでいるのかを質問することで、相手はしっかりとした動機を持って、行動に移すことができます。
以上が、今回紹介した4つの質問です。
もちろん、いきなり全ての場面でコーチングを意識して行動するのは難しいことだと思います。
そのため、思わずアドバイスをしそうになった、相手の話を聞いていなかったと感じた瞬間に、少しずつこの4つの質問を使いつつ、コーチングを実践してみてください!
本書では、この記事では紹介しきれていない、コーチングの極意がまだまだ解説されています。
そのため、リーダーとしてどのように組織やメンバーを導いていけばいいのか知りたい、ついつい管理しすぎてしまうという方は、ぜひ本書を読んでみてください!
ではでは。