今回は、オードリータンさん、ヤン・チエンロンさん著の『オードリー・タン 私はこう思考する』を紹介していきます。
著者のオードリー・タンさんは、14歳で中学を退学し、15歳で起業、35歳では台湾で最年少で閣僚(デジタル担当大臣)に就任、37歳でアメリカの外交政策専門誌である「フォーリンポリシー」で世界の頭脳100人に選出されるなど、さまざまなすごい経歴を持っています。
そんなオードリーさんは、幼少期からの頃から、ギフテッド、天才児だと言われてきました。
しかし、学生時代には同年代の子供たちと馴染めず、不登校になってしまったそうです。
本書では、そんなオードリーさんが、そんな学生時代から、現在輝かしい経歴を持つに至るまでに、どんなことを考えてきたのか、またどんな働き方をすることで、人生の質を上げてきたのかについてまとめられています。
この記事では、その本書の中から、SF小説を読もう、役に立たない人間になろう、スラッシュ族になろうの3つについて紹介していきます!
オードリー・タン 私はこう思考するの要約
SF小説を読もう
皆さんは、SF小説を読んだことがあるでしょうか?
私は、学生時代は少し小説を読んでいたことがありましたが、SF小説を読んだ記憶はあまりありません。
小説は好きで読んでいるけど、SF小説はあまり読んでいないという方や、全くSF小説を読んだことがないという方も多くいるのではないかと思います。
ですが、オードリーさんや、テスラの創業者であるイーロン・マスク、フェイスブックの創業者である、マック・ザーガーバーグなど、世界の著名人の中にはSF小説を読むのが好きだという人が多くいるのです。
では、なぜオードリーさんは、SF小説を読むことをおすすめしているのか?
その理由は、SF小説を読むことで未来について思考するトレーニングをすることができるからです。
実際に、オードリーさんが、インタビューで未来についてどう考えるかと聞かれた時には、「SF小説を読みましょう」と答えているそうです。
オードリーさんは、9歳の時に、台湾大学のジュー・ジエン・ジェン教授にSF作家アシモフのSF小説を読むようにすすめられました。
そして、アシモフのSF小説や他の作家が書いたSF小説を読んでいく中で、テクノロジーが社会にもたらす変化を知るとともに、新たな技術を開発する際には、倫理的な観点も必要だということに気づいたと本書で書かれています。
例えば、新しい道路を作る時に、手を抜いて作ってしまっては、今から使う人は問題なく使うことができるかもしれませんが、10年後、20年後には壊れてしまい、次の世代に害を及ぼすことになってしまいます。
ですが、現在は、新しい道具が発明されるとき、今役に立つことを目的にしていることが多く、次の時代まで使い続けられるかどうか、使われ続けた結果どうなるかまでは考えられていません。
そのため、今の世代が新しい道具を使い続けることで、それを使うことが習慣化し、次世代やそのまた先の世代も使う続けていく中で、社会に害を及ぼすようになってしまう恐れがあります。
現時点で私たちが直面している問題から例を挙げるとすれば、気候変動や地球温暖化です。
過去に文明が発達したことにより、今の私たちの生活はとても便利なものになりました。
ですが、当時に新しく発明されたテクノロジーの影響を予測できなかったことで、今私たちは気候変動や地球温暖化といった問題に直面することになっているのです。
今私たちの世代で発明されているものの中でも、同様に未来の世代に害を及ぼしてしまうものもあるかもしれません。
未来をより良くするためには発明されたものが、結果的に未来を壊してしまうこともあるのです。
だからこそ、新たな技術を発明する時には、倫理的な観点を持つことが大切なのです。
そして、SF小説を読むことで、世界との関わり方を知ることができたり、未来がどうなっているのか、テクノロジーが生活や社会がどう変わっていくのか思考するためのトレーニングをすることができます。
そのため、未来について興味があるけど、これまでSF小説を読んでこなかったという方は、ぜひSF小説を読んでみてください!
役に立たない人間になろう
社会では、役に立つ人間が求められます。
皆さんの会社でも、役に立たない人よりも、当然役に立つ人の方が求められると思います。
だからこそ、みんな今の仕事に関する知識や技術を一生懸命学んでいると思います。
では、オードリーさんは、なぜ役に立たない人間になろうだなんてことをいうのか?
まず、オードリーさんが、言ってる役に立たない人間になるとは、何もできない人になるということではなく、自分に特定の用途を見出す必要はないということです。
私たち人間は、ものではありません。
そのため、自分を道具とみなして、それに相応しい技能を習得しようとするべきではないと本書で書かれています。
また、AIの発達により、今ある仕事の多くは機械にとってかわられてしまいます。
実際に、すぐにくる2030年までには、世界で16人に1人が異なる職業に移行する必要があり、労働者の半数近くは新たな技能を身につけなければ職を失うと言われています。
そのため、今一生懸命、役に立つ人間になろうと学んでいることも、近い将来機械にとってかわられてしまったり、業界時代が消滅してしまい、役に立たない知識になってしまう可能性があります。
そこでまだ役に立つ人間になろうと、学んでも、また近い将来に役に立たない知識になってしまうのです。
それはまるで、スマホが爆発的に流行する1年前に、熱心にガラケーの開発ばかりしているようなものです。
それでは、当然学ぶ意欲は失せてしまいますし、ずっとしんどさを抱えながら学ばなくてはいけません。
だからこそ、自分を道具扱いして、役に立つ人間になるために学ぶのではなく、自分に特定の用途を求めず、興味の赴くままに学ぶことが大切なのです。
スラッシュ族になろう
皆さんは、スラッシュ族という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
スラッシュ族とは、複数の職業を掛け持ちしている人たちです。
自己紹介をするときに、複数の肩書きや収入源があることを示すために、職業をスラッシュで区切ることから、スラッシュワーカー、スラッシュ族と呼ばれています。
実際に、オードリーさんも、デジタル担当大臣として働きながら、市民ハッカー、世界の7つのNGO(非政府組織)に参加されており、スラッシュ族のような働き方をしています。
そして、今現在、日本でも一つの会社で勤め上げるという考えが消えつつあり、転職をすることが当たり前になっています。
また中には、副業をして、複数の収入源を持っている人も、多くいます。
そのような時代では、会社から与えられた肩書きではなく、自分が何に興味を持っており、何を専門としているのかで評価をされたいと考える人が増えていきます。
それにより、一つの分野に専念して、徹底的に掘り下げることができる人材が重宝されるようになります。
先ほど、オードリーさんは、複数の職業や肩書を持つスラッシュ族のような働き方をしていると紹介しましたが、これは決して一つのことを掘り下げていないというわけではありません。
オードリーさんは、一つのテーマを徹底的に追求するタイプであり、14歳の時から「ネット上では、人はなぜすぐに相手を信頼したり憎んだりするのか」ということをずっと研究し続けているのです。
そして、それを研究するために、自分でプログラムを書いてコミュニティを立ち上げたり、別の人が立ち上げたコミュニティに参加したり、多くの国際NGOに参加したりしているのです。
このように、一つのことを徹底的に掘り下げることができる人が少ないからこそ、それができる人は色んなところから重視されるようになり、スラッシュ族として働くことができるのです。
では、スラッシュ族として、働けるようになるためにはどうすればいいのか?
本書では、まずは好奇心を持ち続けることが大切であると書かれています。
また、本業以外のコミュニティに20%の時間を使うことおすすめされています。
今では、ネットを活用することで、容易に新しいコミュニティへ参加することができます。
そのため、職場以外のコミュニティに参加して、そこに時間を使うことで、徐々に新しい人脈や専門知識を獲得することができます。
これは決して、収入を得るために新しいコミュニティに入らなければいけないというわけではなく、興味のあることを楽しむ時間を作ることができればいいのです。
さらに、職場以外のコミュニティに時間を使うことで、新しい人脈や専門知識を獲得することができるだけでなく、そこで得たものを本業にも活かすことができる、クロスオーバー思考を身につけることもできます。
そのため、スラッシュ族として働くためには、まずは自分が研究したいテーマを持つこと、そしてそのテーマを探求するために、20%の時間を職場とは別のコミュニティに時間を使うことが大切です。
本書では、オードリータンさんの考え方や働き方がまだまだ書かれています。
そのため、オードリータンさんの思考をもっと知りたいという方や、世界屈指の頭脳が実践している人生の質を高める方法を知りたいという方は、ぜひ本書を読んでみてください!
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ではでは。