今回は、山口周さんの著の『知的戦闘力を高める独学の技法』を紹介していきます!
皆さんには、社会人になっても勉強が大事なのはわかっているけど、具体的にどのように勉強をしたらいいかわからない、とりあえず本を読んでいるけど、仕事に役立っているかわからないといった悩みはないでしょうか?
本書はそういった方に役立つ1冊です!
本書の著作である山口さんは、読書による独学で経営学を学び、10年以上もコンサルティング業界で活躍され、現在は独立研究者として注目を集めています。
本書では、そんな山口さんによって、独学をビジネスに活かすための方法についてまとめられています。
この記事では、その本書の中から、今独学が必要な理由、独学を効果的に行う4つのモジュールの2つについて紹介していきます!
知的戦闘力を高める独学の技法の要約
今独学が必要な理由
著者は、独学の技術がこれほどまでに求められている時代はないと考えていると、本書で書かれています。
その理由は大きく次の4つです。
①知識の不良資産化
②産業蒸発の時代
③人生三毛作
④クロスオーバー人材
『知的戦闘力を上げる独学の技術』より
まず①知識の不良資産化とは、学んだ知識が富を生み出す期間がどんどん短くなってきているということです。
変化の激しい現代においては、少し前に学んだことさえ、急激に時代遅れの知識になってしまいます。
実際に10年程度まで、ビジネススクールで教えられていたマーケティングは、フィリップ・コトラーの考えがものになった古典的なフレームワークでしたが、それらは現代では時代遅れになりつつあります。
このように、現代は学んだ知識の旬が短くなってきており、自分が過去に学んだ知識をどんどん償却しながら、新しい知識を仕入れる必要があるのです。
続いて、産業蒸発の時代ですが、現代は多くの産業や企業において、イノベーションが求められています。
そして、イノベーションは今の仕組みを根底から覆し、産業の蒸発が起こります。
簡単な例を挙げると、アップルのiPhoneです。
アップルのiPhoneが開発され、日本で人気になる前は、ほとんどの人がガラケーを使っていました。
しかし、iPhoneによってイノベーションが起き、ガラケーからスマホへの急激なシフトが発生した結果、ガラケーという巨大な産業が蒸発してしまったのです。
このように、イノベーションによって、産業が蒸発したり、産業構造に大きな変化が起こると、そこに関わる人は自分の専門領域を変えなくてはいけなくなります。
このときに、独学の技術を身につけているかどうかで、スムーズに次のキャリアにシフトチェンジできるかが決まるのです。
続いて3つ目の理由の人生三毛作ですが、今を生きる私たちのキャリアには2つの大変重要な変化が起こっています。
一つ目が現役寿命の延長です。
これまでは引退寿命が60歳前後だったのに対して、これからは寿命が100年になる時代に突入し、それに伴って引退寿命も70〜80歳に引き上げられることが考えられます。
続いて2つ目の変化が、企業や事業の旬の寿命が短くなっていることです。
日経ビジネスと帝国バンクの調査によると、活力を維持して事業を運営している企業のうち、10年後もそれを維持できているのは約半数、20年後になると約1割程度の企業しか残れないことがわかっています。
このように、個人としては働く期間が長期化することが予想されるのに対して、企業や事業の旬の寿命は短くなると考えられており、多くの人は仕事人生の中で何度か転職をしたり、自分の専門領域を変えることを強いられてしまうのです。
このように社会において、独学の技術を持っているかどうかで、うまく変化に対応できるかが決まります。
最後に④クロスオーバー人材ですが、これは領域を越境する人材のことです。
最近の人材育成、組織開発の世界では、π型人材が重要視されています。
π型人材とは、縦棒=スペシャリストとしての深い専門性を2つの領域で持ちながら、横棒=ジェネラリストとしての幅広い知識を併せ持つ人材のことです。
現代では、一つの専門性だけを身につけていたとしても、イノベーションを起こすことができません。
イノベーションとは、他の分野の知識同士が組み合わさるなど、新しい結合によって起こります。
そのため、現代ではこれまで異質だと思われていた2つの領域の専門性を持ち、それを掛け合わせることができる、クロスオーバー人材が求められているのです。
そして、ジェネラリストとしての幅広い知識を獲得するためには、独学の技術が必要になります。
その理由は、現在の高等教育機関のほとんどが、専門家の育成を前提としてカリキュラムが組まれているからです。
最近では、リベラルアーツ教育を取り入れた大学も出て来ていますが、すでに大学を卒業してしまっている社会人は、幅広い知識を自分で身につけていく必要があるのです。
以上、ここまでなぜ今独学が必要なのかについて、本書をもとに紹介していきました。
では続いては、実際に知的戦闘力を高めるための、独学の方法を紹介していきます!
独学を効果的に行う4つのモジュール
著者は、知的戦闘力を上げるための独学は、大きく①戦略②インプット③抽象化・構造化④ストックの4つの流れによって構成されると書かれています。
これからそれぞれのステップの概要を紹介していきます。
一つ目は①戦略ですが、まずはどのようなテーマで知的戦闘力を高めたいのか、方向性を考えていきます。
闇雲に独学をしても、知的戦闘力を高めることができません。
強大な敵と戦うときに、必要な武器を選ぶように、自分はどういった闘い方をするのか?どういった強みを発揮するのか?といったことを考えて、独学の戦略を考えていきましょう。
しかし、独学の戦略を考えるときに、注意が必要なのが、あまり細かく設定しすぎないことです。
過去の歴史を振り返ると、大きな発見や発明の契機になっているのは、偶然であることが少なくありません。
大きな気づきや学びは、偶然のインプットから得られることがよくあるのです。
そのため、独学の戦略の内容は大まかな方向性が示せていればよく、細かく設定しない方がいいのです。
続いて②インプットでは、様々な方法がありますが、今回は代表的な方法である読書について紹介していきます。
本書では、ビジネスパーソンが高い知的成果を生み出すためには、ビジネス書と教養書の2つを両輪のように組み合わせて読み進んでいくことが必要であると書かれています。
その理由は、ビジネス書と教養書では、それぞれ読む目的も、得られるものも違うからです。
まずビジネス書は、今仕事で必要な知識であったり、自分の専門領域を深めるためのインプットとして使うことができます。
一方で教養書は、自分の専門領域を深める目的や、教養を広げるためのインプットとして使うことができます。
先程、今独学が必要な理由についての紹介でも出てきましたが、最近ではπ型人材が重要視されています。
そのため、専門性に加えて、幅広い知識を手に入れるためにも、ビジネス書だけでなく、教養書も読み進めていくことが大切なのです。
そして、ビジネス書と教養書では読み方が異なります。
まずビジネス書の場合は、名著をおさえて、読書ノートは作らずに読み進めていきます。
狭く深く読んでいくイメージです。
ビジネス書の場合は、定番や名著と呼ばれるものが限られています。
また内容もビジネスに直結したものになっているので、わざわざ読書ノートを作らなくてもいいのです。
一方で教養書の場合は、ジャンルが多岐にわたるものもある上に、いますぐに仕事に活かせるかわからない知識が多くあります。
そのため、後で振り返ったり、参照するために、読書ノートの作成が必要になるのです。
この教養書の読み方については、私が以前に紹介した山口さん著の『外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術』の紹介動画で解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
では、続いて3つ目のステップが抽象化・構造化です。
先ほども触れた通り、教養書から得たインプットは、そのままでは普段の仕事とつながりを見出すことが難しいです。
そのため、抽象化・構造化を行うことで、ビジネスや普段の生活に役立てるように、意味づけをする必要があります。
本書では、各国において歴史的にみられた二重権力構造を例に挙げています。
中世から近世にかけて欧州では、教皇と各国の君主という二重の権力構造がありました。
また中国では宦官という科挙という2つの制度が、日本では将軍と天皇という2重の権力構造がありました。
こういった歴史的に知識は、そのままではビジネスや実生活に活用することはできません。
そこで、歴史的にみられる二重権力構造を抽象化すると、「長く続く体制には、権力の集中が働くカウンターバランスが働いている」と考えることができます。
このように抽象化することができれば、それを構造化していきます。
構造化では、別の知識や情報と組み合わせていきます。
例えば、すでに持っているリーダーシップに関する知識と二重権力構造を組み合わせることで、より強い組織作りができるようになると思います。
このように、歴史から得られたインプットも、抽象化と構造化を行うとことによって、仕事や実生活に活かせる知識にすることができるのです。
では最後のステップがストックです。
抽象化と構造化をした知識は、いつでも引き出せるようにストックする必要があります。
その理由は、私たちはインプットした知識をいずれ忘れてしまうからです。
独学によって得た知識は、中にはすぐに役立つものもあれば、いますぐには役だたたないそうなものもあります。
ですが、今すぐには役立たなくても、この先で大きな発見や気づきにつながることもあるのです。
そして、その時がいつやってくるのか、事前にはわかりません。
予想外のタイミングで知識が必要になった時でも、すぐに取り出せるように、ストックした知識をいつでも引き出せるシステムを作っておく必要があります。
そこで、インプットした知識は、デジタルデータとして記録しておきましょう。
最近では、OneNoteやエバーノートなど、デジタル上で使えるノートがたくさんあります。
こういったデジタルで使えるノートでは、検索機能がついており、いつでも欲しい情報を引き出すことができます。
そのため、インプットして抽象化・構造化した知識は必ずデジタル上のノートに保存するようにしましょう。
以上、ここまで知的戦闘力を上げる独学の、4つのステップを紹介しました。
本書では、それぞれのステップについて、さらに細かく解説されておりますので、興味のある方はぜひ本書読んでみてください!
本書では、この記事では紹介しきれていない、知的戦闘力を上げるための独学のやり方が、まだまだ解説されています。
そのため、独学で学んだことを、効果的に仕事で使えるようにしたいと考えている方は、ぜひ本書を読んでみてください!
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ではでは。