今回は、今井むつみさんの著の『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』を紹介していきます。
皆さんは職場や家庭で、ちゃんと伝えたのに相手が覚えていなかった、こちらはちゃんと説明しているのに話したが正確に伝わらないといった悩みはないでしょうか?
本書はそういった方に役立つ1冊です!
本書では、認知科学を専門とされている著者によって、何回説明しても伝わらない理由と、相手に自分の考えを伝えるための方法が解説されています。
この記事ではその本書の中から、話せばわかるは幻想、言っても伝わらない時、何が起こっているのか、自分の考えを正しく伝える方法の3点を紹介していきます!
「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?の要約
話せばわかるは幻想
話せばわかる、説明すれば伝わる
多くの方が、このように考えているのではないかと思います。
私のYoutubeチャンネルでもいくつか紹介しておりますが、言い方や説明の仕方について書かれた本は大変人気を集めています。
おそらく、わかりやすく説明すれば相手に伝わるという考えがあるからこそ、言い方や説明の仕方について書かれた本が多く売れているのではないかと思います。
しかし本書では、話せば伝わる、伝わらないのは伝え方や表現に問題があるからで、そこを改善すれば伝わるようになるという考えに疑問を投げかけています。
本当に、話せば伝わるのか?言い方や説明不足を改善すれば、本当に伝わるようになるのか?
もちろん、説明が悪ければ、相手はあなたの話を理解できなくなってしまうため、言い方や説明の仕方を改善することは大切なことだと思います。
しかし、相手に伝わらないのは、言い方や説明の仕方だけではないのです。
そもそも、私たち人間は相手の話した内容をそのまま脳にインプットしているわけではありません。
あなたの話を聞いて、相手が理解しているように見えたとしても、相手の頭の中で独自に解釈されてしまい、間違った内容が伝わっている可能性もあります。
他にも相手が聞きたくない情報は意図的にスルーしてしまっている可能性もあります。
そのため、あなたが言い方や説明の仕方に気をつけたとしても、必ずしも相手に正確に伝わるわけではないのです。
さらに、話し手と聞き手では、知識と思考の枠組みが異なります。
いま、頭の中に猫を思い浮かべてみてください。
私は茶色い猫を思い浮かべましたが、皆さんの中には黒い猫を思い浮かべた方や、何かのアニメのキャラクターを思い浮かべた方もいると思います。
このように同じ猫でも、思い浮かべたものに違いあるのは、それぞれが持っている知識と思考の枠組みが違うからです。
知識と思考の枠組みは、それぞれがこれまでの人生で体験してきたこと、育った環境、興味関心などによって形成されます。
この知識と思考の枠組みは、認知心理学では、スキーマと呼ばれていますが、アナたと全く同じスキーマを持っている人はいないのです。
このスキーマは、相手の言葉を理解する時や、何かを考える時に脳のバックグランドで常に働いています。
当然、持っているスキーマが違えば、同じものを見たり聞いたりしても、解釈に違いが出ます。
そのため、あなたが言い方や説明の仕方を学んで、わかりやすい説明ができるようになったとしても、相手はあなたが話した内容を、あなたが意図したように理解してくれるように保証はないです。
本書に載っている事例ですが、ある会社の営業部長が新人の女性が取引先に行く際に、最近流行っている少し露出がある服装を着ていたことに、「そんな服装で取引先に行って大丈夫か?」と注意をしたそうです。
部長は、取引先はお堅いところだから、露出がある服装は控えてほしいという意味合いで注意をしたのですが、その女性からは「寒くないので大丈夫です」という返答が返ってきたそうです。
このように、話がすれ違ってしまうのには、部長と女性がもつ、服装に対してのスキーマが異なっているからです。
そのため、相手に伝わらないというコミュニケーションの問題を解決するためには、言い方や説明に気をつけるだけでは不十分なのです。
相手と自分は持っているスキーマが違うこと、そして自分の話が100%正確に相手に伝わるわけではないことを意識することが大切です。
言っても伝わらないとき、何が起こっているのか
おそらく、正確に伝えたはずなのに伝わっていなかった、相手の話をちゃんと理解したはずだったのに、相手と認識がずれていたという経験を持っている方は多いと思います。
本書では、こういった時に認知の世界で起こっていることを6つ解説されています。
この記事では、その中から2つを厳選して紹介していきます。
まず一つ目が、視点の偏りです。
先ほども紹介したように、私たちの見たり聞いたりする動作は、スキーマや思い込みに大きな影響を受けています。
皆さんには、買い物をしている時に、ほしいものが目の前にあったのに、探しても見つからなかったという経験はないでしょうか?
目の前にあり、確実に視界に入っていたのにも関わらず、気が付かなかったのは、別の商品に気を取られていたり、商品のパッケージが想像していたものと違うといった理由が挙げられます。
このように、確実に目の前にはあるのに、視点の偏りによって、見逃してしまうということはよくあります。
そして、視点の偏りは文章を読んだり、話を聞いたりする時にも起こります。
確実に文章に書いてあるのに見落としがあったのは 、他の文章に気を取られてしまったからかもしれません。
確実に話したはずなのに相手が覚えていなかったのは、相手の頭の中ではそれ以前に話していた内容に意識が向いてしまっていたからかもしれません。
このように、視点の偏りによって、伝えたはずなのに伝わっていないということが起こってしまいます。
続いて2つ目が、専門性が視野を歪ませるです。
会社では、それぞれ違った専門性を持った人が集まって仕事を進めています。
それぞれの専門性をうまく擦り合わせて活用することができれば、大きな成果を挙げられるかもしれません。
しかし、現実はそううまくいきます。
あるアイデアを採用するかしないかの会議では、商品開発部は賛成しているが、営業部が賛成しないなど、部署ごとの意見がバラバラでまとまらないということが起こりえます。
意見がバラバラになってしまうのは、それぞれがもつ専門性が異なり、考え方が違うからです。
相手と考え方が異なると、どうしても、「あいつは間違っている」「何を考えているのか全くわからない」と攻撃的になってしまいます。
実際には相手が間違っているわけではなく、お互いが、自分のもつ視点からのみでしか物事を考えることができておらず、意見が違っている可能性が高いのです。
こういった状況では、いくらわかりやすい説明をしても、「話は理解できるが賛成できない」と言われてしまい、仕事は進みません。
そこで大切なのが、相手がどんな視点から意見を言っているのかを考え、それを聞き取り、お互いの懸念点を解消していくことです。
相手の視点はどのように偏ってしまっているのかを考えて、それを踏まえて説明することで、話したのに伝わらないということを防ぐことができるのです。
自分の考えを正しく伝える方法
本書では、相手に正しく伝えるための方法がいくつか紹介されています。
この記事では、その中で最も基本的であり、最も大切なことを紹介してきます。
それが、相手の立場になって考えることです。
あなたの説明が伝わるかどうかは、相手の解釈次第です。
だからこそ、相手がどういったスキーマを持っているのか、相手の置かれている状況はどんなものなのかといったように、相手の立場になって考えることが大切なのです。
もしかしたら、「そんなの当たり前じゃん」と思われる方もいるかもしれません。
ですが、ちゃんと相手の立場になって考えることができている人は、あまり多くはないのではないでしょうか?
例えば、仕事では報・連・相が大事であるとよく言われます。
しかし、上司に報告をする際に、上司の立場になって報告内容を考えることができているでしょうか?
後から上司に怒られないように、自分を守るための報告になってしまっていないでしょうか?
自分を守るための報告になってしまうと、都合の悪いことはあいまいに報告してしまい、のちにトラブルとなってしまう恐れがあります。
部下に仕事を指示する時や取引先にメールを送る時などでも同じです。
いくらうまく説明ができたとしても、それが相手の立場に立って考えられたものでなければ、相手には伝わりません。
そのため、相手の立場に立って考えることが大切なのです。
そして、相手の立場に立って考えるためには、まずは自分と相手は違うスキーマを持っていることを理解し、相手のスキーマを受け入れることが大切です。
そうすれば、相手のための説明ができるようになり、話しても伝わらないといったことを少なくすることができます。
本書では、相手の立場に立って考えることについて、様々な場面の例が紹介されています。
そのため、自分の言い方や説明の仕方ばかりに意識が向いてしまっていたなと感じる方は、ぜひ本書を読んでみてください!
本書では、なぜ説明しても伝わらないのか、またどうすれば正しく伝えることができるのかについて、認知科学の視点から、まだまだ解説されています。
そのため、話し方の本を読んでも、相手にうまく伝わらなかったという方や、自分の考えが伝わらずに悩んでいるという方は、ぜひ本書を読んでみてください!
『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』の購入はこちらから!
ではでは。