今回は、柳川範之さん、為末大さん著の『Unlearn(アンラーン)人生100年時代の新しい「学び」』を紹介していきます。
私たちの生活はあらゆる要因によって、変化していっています。
最近では、コロナウイルスによって、私たちの生活は一変しました。
突然起こった大きな変化だったため、変化の対応に苦戦したという人もいたと思います。
コロナウイルスほどの突発的なものではなかったとしても、これからも変化はどんどん起こります。
そして変化に対応できなかった会社や人は、時代に取り残されてしまいます。
そこで本書では、東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授である柳川さんと男子400メートルハードルの日本記録保持者である為末さんによって、変化に対応できるようになるアンラーンについて解説されています。
この記事では、本書の中からアンラーンとは何なのか?またアンラーンの実践法について紹介していきます!
Unlearn(アンラーン)の要約
アンラーンとは?
まずアンラーンとは、学ばないことではありません。
本書ではアンラーンとは、完成されたスキルや知識を、あえて「不完全段階」に戻して、可能性を広げることであると書かれています。
分かりやすく言うと、「思考のクセを捨てる」ということです。
思考のクセとは、環境に適応してパターン化した意思決定プロセスのことです。
私たちには、これまで培ってきたスキルや知識から、思考のクセが出来上がっています。
例えば仕事でも、プレゼンなどで上手くいったパターンがあると、次もまた同じようにやるということがあると思います。
しかし、毎回同じようなやり方で成功するとは限りません。
プレゼンの相手によっては、前回通用していた方法が通用しない場合もあります。
それなのにも関わらず、同じようなやり方をしていては、失敗する可能性が高くなります。
そこで必要なのが、アンラーンです。
これまでパターン化していたやり方を一旦忘れることで、柔軟に考えられるようになります。
これまでのプレゼンのやり方を忘れ、相手に合わせて、新たな方法を取り入れていくことで、次回のプレゼンも成功させることができます。
おそらく皆さんの中にも、これまでと同じやり方では上手く仕事が進められなかった経験があると思います。
特にコロナウイルスによって、私たちは半ば強制的にアンラーンをしなくてはなりませんでした。
これまで出社が当たり前だった働き方から、リモート中心の働き方に変わったり、普段の生活でもマスクは絶対に着用し、人との距離をあけなければいけないなど、これまでとはまるっきり変わった行動様式を取らなくてはいけなくなりました。
コロナウイルスによって起きた変化ほど、大きなものは、めったに起こるわけではないと思われるかもしれません。
しかし、これからはChat GPTなどの生成AIの発達により、世の中が大きく変わる可能性があります。
このような時代の変化に遅れないようにするためにも、アンラーンは大切なのです。
また、以前までは新卒で入った会社を定年まで勤めあげることが当たり前でした。
しかし、今は転職が当たり前の時代になっています。
転職をするということは、今までの職場とは違った環境で働くということです。
今までとは違った環境で働くということは、以前までの会社で当たり前だったことが当たり前ではなくなるということです。
そういった場面に直面した時に、アンラーンをすることができるかで、転職先で成功できるかどうかが変わってきます。
このように、アンラーンを使いこなすことができれば、あらゆる環境の変化に対応することが出来るようになります。
では続いては、アンラーンの実践方法を紹介していきます。
アンラーンの実践方法
本書では、アンラーンの対象とすべき最大のものは、日常の判断や習慣に大きな影響を与えている会社や組織におけるしきたりやルールであると書かれています。
会社や組織の中で務めていると、どうしても、そこで当たり前になっているルールやしきたりに適応するようになってしまいます。
出社でしか仕事ができないといった発想や、残業や休日出勤は当たり前といった考えも、こういったルールやしきたりによって作られています。
ルールやしきたりに適応すること自体は、そこで活躍するために必要なことですので、大切なことです。
しかし、それはその会社や組織の中ではの話です。
別の会社に転職をしたら、当然今まで適応してきた、前の会社のしきたりやルールは通用しなくなります。
前は残業をして仕事を終らせるのが当たり前だったが、転職先は残業をするのは能力がないことだと考えられているかもしれません。
また同じ会社に勤め続けている場合でも、働き方改革やデジタル化などによって環境が変化すると、これまでのルールは変えていかなくてはいけません。
以前までは、会社のルールやしきたりによって創り出されたルーティンを守っていれば、仕事は問題なく進められたかもしれません。
しかし、そればかりに頼ってしまうと、変化が起こったときに何をすればいいのかが分からず対応できなくなってしまうのです。
だからこそ、変化が起こっていない時から、「自分の発想や決定はルーチン化されていないか?」「パターン化していないだろうか?」を自問することが大切です。
そこで、次の2ステップでアンラーンを実践していきましょう。
①洗い出し
②「なぜそれでいいのか」をチェックする
まず洗い出しでは、 あなたが無意識にやってしまっていること、自動的に処理していることを全て洗い出していきます。
洗い出す際は、スマホでも紙でもなんでもいいので、文字化していきましょう。
洗い出す際は、朝起きてから会社に行くまでといった時間帯に分けて書き出す方法と、会議の順位の際にやることなど、業務の種類でテーマを決めて書き出す方法がオススメされています。
意識的か無意識的にかかわらず、とにかくやっていることを書き出していきましょう。
全て書き出すことができたら、そこから自動化・無意識化していることをピックアップしていきましょう。
ピックアップすることができたら、ステップ②の「なぜそれでいいのか」をチェックしていきます。
まず、ピックアップしたことに対して、「このルーチンが本当に「今も」最適なのか?」を考えていきましょう。
自分自身で考えてみて上手く答えが出なかったら、第三者の視点を借りることも効果的です。
「このルーチンが本当に「今も」最適なのか?」を考える際は、なぜそれでいいのかをチェックしていくことが大切です。
もしその理由が、「いつもそうだから」「うちの会社ではそうだから」といった前例を踏襲したものであったら、アンラーンするチャンスです。
いつもそうだからで、今回も上手くいくのか? なぜうちの会社ではそうなっているのか?というように、さらに突っ込んで質問をされても、明確な答えが出せるのであれば、アンラーンすべき対象ではありません。
しかし、明確な理由や納得できる理由が出せない場合は、アンラーンすべきタイミングです。
環境に変化が起こったとしても、「いつもそうだから」といって同じことをしていては、変化に対応することができません。
そのため、自動化・無意識化しているもので、明確や理由や納得できる理由がないものは、アンラーンしていくことが大切なのです。
アンラーンをしたうえで、もっといいやり方はないか、今に適したやり方はないかを探して実践していくことで、環境の変化に対応できるようになります。
もし、皆さんの中に「いつも通りやっているのに上手くいかなかった」という経験があったり、「自分やチームの仕事のやり方は、理由もなくルーチン化されてしまっているものばかりだ」と感じることがありましたら、ぜひアンラーンを試してみて下さい!
本書では、この記事では紹介しきれていない、アンラーンを阻む7つの壁とその対処法についてなど、アンラーンに関する大切なポイントがまだまだ解説されています!
そのため、アンラーンについてもっと知りたいという方は、ぜひ本書を読んでみて下さい!
ではでは。