今回は、アン・ウーキョンさん著の『思考の穴』を紹介していきます。
本書の著者である、アンさんの「シンキング」という授業は、イェール大学の大講堂が毎週満員になるほど大人気になっています。
その「シンキング」の授業では、人間の脳が陥ってしまう思考の穴について解説されています。
そして本書では、著者の授業で解説されている思考の穴について書かれています。
そのため本書を読むことで、私達が陥ってしまう思考の偏りや判断ミスや、その対策法を知ることができます。
この記事では、その本書の中から代表的なものを3つ厳選して紹介していきます!
思考の穴の要約
計画錯誤
皆さんは、仕事や勉強などの計画を立てたが、その通りに進まなかったという経験はないでしょうか?
むしろ、計画通りにことが進むという方が少ないかもしれません。
なぜいつも計画通りに進まないのか?
それは、人は何かを完了させるのに必要となる時間や労力を少なく見積もってしまうからです。
必要な時間や労力を少なく見積もってしまうため、締め切りに間に合わない、予算が足りない、完了する前に力尽きてしまうということが起こるのです。
このことを計画錯誤と言います。
2020年東京オリンピックは、まだ皆さんの記憶にも新しいと思います。
日本は、コンパクト五輪を掲げて、開催国を勝ち取りました。
コンパクト五輪というだけあって、始めは予算7000億円でしたが、実際にかかった費用は3兆円にまで膨れ上がったそうです。
最初の予算よりも費用がかかってしまったのには、様々な要因がありますが、計画錯誤の影響も多いと思います。
計画錯誤が起こる原因は複数ありますが、そのうちのひとつが希望的観測です。
なるべく早く終わらせたい、少ない予算で終えたいといった希望的観測が計画の立案や予算の編成に反映されてしまうのです。
実際に私もyoutubeの動画の投稿予定を立てるときは、なるべく早く投稿したいという願望が強く計画通りに進まないことがよくあります。
午前中に作り終わっているはずだったのに、起きるのが遅くて作り終わらなかったり、思っていたよりも本の内容をまとめるのに時間がかかってしまうなど、計画通りに上手くいかないものです。
ではどうすれば、この計画錯誤を防ぐことができるのか?
まずは、頭の中でシミュレーションをする時に、計画遂行の障害となる不測の事態となりえるものを思い浮かべて流暢性に淀みを作っていきましょう。
ここで思い浮かべるべき障害は2つあります。
それは、すぐに思い浮かびやすいものとそうではないものです。
例えば私のyoutubeの場合は、朝寝坊してしまうこと、本を読んだり、内容をまとめるのに時間がかかってしまうことは、思い浮かびやすい障害だと思います。
最初に計画を立てるときには、こういった思い浮かびやすい障害は組み込みやすいと思います。
一方で、子供が熱を出してしまって看病をしなくてはならない、停電してしまいパソコンの充電ができないといったことは、すぐに思い浮かびづらい障害だと思います。
こういった思いがけない不測の事態は、考えようと思えば無限に出てくるため、最初の計画に組み込むことは難しいです。
そこで不測の事態に備えるために、最初に立てた見積もりよりも50%多い時間を確保しましょう。
これはとても単純な方法ですが、かなり効果的だと思います。
確かに私も、休みの日に動画作成にあてる時間を50%増やすだけで、計画通りになることが多いです。
それを元に他の計画も立てていけば、何をするべきか、何をやらないべきかも考え直すことができます。
そうすることで、計画通りに進まずに焦ることを減らすことができるのではないかと思います。
これまで仕事や勉強で計画通りに遂行できないことが多かったという方は、ぜひ計画の遂行の障害となりえるものを思い浮かべること、そして最初の計画よりも50%多い時間を確保することを試してみて下さい!
確証バイアス
いきなりですが、これから3つの数字を提示します。
その数字を見て、シンプルな法則を見つけてみて下さい。
2.4.6
この3つの数字の並びをみて、法則を考えて、その法則をもとにご自身で3つの数字を考えてみて下さい。
皆さんは、どんな数字を思い浮かべたでしょうか。
おそらく、3.5.7といった2つずつ増えていく数字を思い浮かべたのではないでしょうか。
ですが、2つずつ増えていくという法則は、この問題の正解ではありません。
正解は、前の数字より大きくなるです。
そのため、1.2.3でも3.5.7でもいいのです。
この問題は、実際にハーバード大学の学生に出題したところ、73%が不正解の回答をしてしまったそうです。
なぜ多くの人がこの問題を間違えてしまうのか?
その原因は、ずばり確証バイアスです!
人は、自説が正しい証明する証拠ばかりを集めてしまいます。
2.4.6の並びをみて、2つずつ数字が増えていることに気づいた瞬間から、それ以外の法則は見えなくなっていたと思います。
この確証バイアスは、日常のあらゆる場面で私たちの考えを歪めています。
身近な例をあげると、血液型診断があげられます。
A型は几帳面、B型はおおざっぱだと聞くと、それにまつわるエピソードばかり思い浮かんで来ると思います。
当たり前ですが、A型にも大雑把な人はいますし、B型の人にも几帳面な人はいますり
しかし確証バイアスによって、A型が几帳面であることを裏付ける理由、B型がおおざっぱであることを裏付ける理由ばかり探してしまうのです。
血液型占いであれば、実生活や社会に影響があることはありません。
しかし、例えば仕事で失敗をしたときに、「自分は駄目だ」と思い込んでしまうと、自分がだめな理由ばかり探してしまい、精神的な病につながってしまうことがあります。
さらに悪いことに、人は信じたとたん、信じたとおりに行動しようとします。
例えば、ネットなどでうつ病の診断テストをして、うつ病の傾向があると、鬱病患者のように振る舞うようになってしまうのです。
他にも確証バイアスによって受ける悪影響は、女系科学者や黒人の年収など、あげればたくさんあります。
では、この確証バイアスを防ぐためになどうすればいいのか?
正反対のことを自問することが、対策の一つです。
確証バイアスによって、最初に自分が持っていた考えに偏ってしまいます。
そのため、単純ですが正反対のことを考えることで、両面から考えることができ、確証バイアスから逃れることができるのです。
保有効果
皆さんは、使っていないのになかなか捨てられないものや、解約できないサブスクはないでしょうか?
人は、自分の所有物を失うことが嫌でたまらないという傾向があります。
これは、自分のモノとなった時間がどれだけ短くても変わりません。
実際に、この保有効果を実証した実験があります。
その実験では、参加者である大学生たちに、各自が通う大学のログが入ったマグカップかスイスのチョコレートバーのどちらかを選ばせます。
すると、マグカップとチョコレートバーを選んだ学生は半々に分かれました。
その後、同じ大学の通う他の学生にも同じ二択を提示するが、提示の仕方を少し変えます。
後者の参加者には最初にマグカップを見せ、持ち帰ってよいと伝えた後で、マグカップとチョコレートバーを交換しないかと尋ねるのです。
これは提示の仕方が少し変わるだけで、マグカップかチョコレートを選ばせているという点では最初の参加者と変わりません。
しかし、マグカップとチョコレートバーの交換に応じた学生は11%しかいなかったそうです。
さらに、このマグカップとチョコレートバーを逆にした場合も同様に、交換に応じた学生は10%ほどしかいませんでした。
このように、人は一度自分のものになると、手放したくなくなるのです。
この保有効果は、マーケティングにも使われています。
ネットフリックを始め多くのサブスクには無料お試し期間があります。
実際に無料期間だけ使おうと登録をして、無料期間の終了日をカレンダーにメモしたのにも関わらず、無料期間終了後も使い続けてしまったという方もいると思います。
それは、一度自分のものとして使い始めてしまうと、保有効果によりそのサービスがとても魅力的に見えてしまい解約することができなくなってしまっているのです。
他にも、気に入らなければ全額返金とうたっている商品やサービスにも、この保有効果が使われています。
全額返金なら返品すれば0円だといって購入すると、全額返金とは分かっていても手放せなくなるのです。
こういったマーケティング戦略以外にも、買った服や本などが捨てられずにたまってしまっているということはよくあると思います。
では、どうすればこの保有効果を避けることができるのか?
本書では、近藤麻理恵さん著の『人生がときめく片付けの魔法』で書かれている方法が紹介されています。
本書では、失うことへの恐怖を克服するために家にある衣類を全て出すことを提案しています。
全て出すことによって、その瞬間から自分の所有物ではなくなり、行うべき決断が、手にするものを選ぶ決断に変わります。
何かを失うという考え方から、何かを得るという考え方に変わるのです。
そうすることで、失うことの恐怖は生まれないため、楽に手放すことができるのです。
特に手放すことができずに、モノが溜まってしまっているという方は、ぜひ今回紹介した方法を試してみて下さい!
本書では、この記事では紹介しきれていない、私達が陥ってしまう思考の穴がたくさん解説されています。
自分が陥ってしまっている思考の穴に気づき、その対処法を知っていれば、人生をより良くすることができると思います。
そのため、思考の穴に興味がある方はぜひ本書を読んてみて下さい!
ではでは。