今回は、安藤広大さん著の『とにかく仕組み化』を紹介していきます。
安藤さんはこれまで、シリーズ70万部突破のベストセラー『リーダーの仮面』『数値化の鬼』を書かれています。
今回紹介する『とにかく仕組み化』は、三部作目になります。
その三部作目である本書では、人の上に立ち続けるために必要なことについて書かれています。
皆さんは、人の上に立ち続けるために必要なことは何だと思いますか?
本書では「歯車として機能する人」であると書かれています。
歯車として機能する人には、仕組み化の考えが備わっておりいます。
仕組み化としての考えが備わっているからこそ、組織の仕組みの一部として、ちゃんと役割を果たすことができるのです。
そして、仕組み化の考えが備わっている人は、どの会社でも活躍することができ、人の上に立つことができるのです。
本書を読むことで、その仕組み化の考えを身につけることができます!
そこでこの記事では、なぜ仕組み化が大切なのかと、仕組み化のステップを紹介していきます。
とにかく仕組み化の要約
なぜ仕組み化が大切なのか?
仕組み化が必要な理由は、大きく2つあります。
1つ目は人は弱いから、2つ目は組織は放っておくと属人化してしまうからです。
まず、人は弱いということについて解説していきます。
皆さんは、「やらなきゃなー」と思いつつも、なかなか手がつけられずに時間が過ぎてしまったことはないでしょうか?
私もマイナンバーの申請をやらなきゃなと思いつつ、何週間も先延ばししてしまった経験があります。
このように、私たちはめんどくさいことを先延ばししてしまう傾向があります。
そこで、人は楽をして生きるものだという性弱説を使って仕組みを作ることが大切です。
実際に著者は、「私からメールが届いたら、3時間以内に返信してください」というルールを設定しているそうです。
なるべく早く返信をしてほしいでは、人によって、なるべく早くの認識が異なります。
人によっては10分以内、30分以内という人もいれば、その日のうちに返せれば良いという考えの人もいます。
そのため、各自が自分の物差しで判断してしまい、思うように仕事が進まなくなってしまいます。
そこで、3時間以内と明確なルールを作ることによって、皆がそのルールに則って仕事をしてくれるようになります。
他にも締切をきちんと設定する、締切が守れない場合は、それが判明した時点、いつまでなら間に合うかも含めて報告するといったルールを設定することも大切です。
続いて、組織は放っておくと属人化するということについて紹介していきます。
属人化とは、その人にしかできない業務が存在してしまっている状態です。
人は自分が得をするために、自分が活躍をして、他の人が追いつけない状態を作ろうとします。
組織の中に優秀な人がいることは、良いことのように思えるかもしれません。
ですが、万が一その人が仕事を休んだら、また辞めてしまったら、その組織はどうなるでしょうか?
代わりが務まる人がいなく、その組織の売上はガクッと下がってしまうでしょう。
そのため、真の優秀な組織を作るためには、優秀な人が不在でも、チームとして機能することで勝てる組織を作る必要があります。
そこで必要になるのが、仕組み化です。
その人がいなくても、ちゃんと仕事が回るような仕組みを作ったり、全員が成長できるような育成の仕組みを作ることが大切です。
そして、人の上に立つ人は、仕組みを作り属人化を壊す必要があります。
では、具体的にどのように仕組み化していけばいいのか?
本書では、次5つのステップで仕組み化が作れると解説されています。
①「責任と権限」を手に入れる
②「危機感」を利用する
③「比較と平等」に気を付ける
④「企業理念」を再認識する
⑤「進行感」を感じる
この仕組み化のステップには、社長などの経営陣にとって大切な内容や、経営陣にしか変えることができないものもあります。
そのため、この記事では現場で働く社員や中間管理職の方でも実践できる仕組み化に絞って紹介していきます。
責任と権限
責任と権限のステップで大切なことは、次の4つです。
①「いい権利」と「悪い権利」を分ける
②意思決定で「線引き」をする
③「朝令暮改」を恐れない
④「権限」を与える
まずは、いい権利と悪い権利についてです。
本書では、いい権利とは「文章として明確になっている権利」であると書かれています。
一方で、悪い権利とは「文章として明確になっていない曖昧な権利」です。
皆さんの職場にも、暗黙の了解というものがないでしょうか?
上の立場でもない人が、長年いるからという理由で、マニュアルにはないルールを独自で作っているというケースは多くあると思います。
長年いる人であれば、やり過ごせるかもしれませんが、新入社員や中途で入ってきた人はそういうわけにはいきません。
暗黙の了解があることで、「そんなのは研修で聞いていない」「そんなのはマニュアルには書いてないじゃないか」とトラブルにつながってしまいます。
そのため、人の上に立つ人が、部下が迷わないように「明文化したルール」を設定する必要があります。
2つ目の大切なポイントが意思決定で線引きをすることです。
ルールを決める場面で、意見が2つに分かれることもあります。
その時に、はっきりと線引きをすることが、人の上に立つ人にも求められます。
人によって特別ルールを作ってしまうと、後々トラブルになります。
また人の上に立つ人は、線引きをする際に、「私が決めました」と主語を自分にして伝えることが大切です。
3つ目のポイントが、「朝令暮改」を恐れないことです。
ルールを決めたとしても、実際に運用するうえで、こうした方がいいという改善案が出てきます。
ルールをコロコロ変えると不満が出てしまうかもしれないと心配になるかもしれません。
ですが、状況によって適切なルールは変わっていきます。
そのため、他に良い案があったり、状況が変わった場合には、潔くルールを変えていきましょう。
4つ目のポイントが、「権限」を与えるです。
部下に「任せた」といって、全てを丸投げするのは、権限を与えることではありません。
仕事を任せるときは、「何をしなければいけないか」「そのために何をやっていいか」を明文化して伝えることが大切です。
このように、部下にどこまで自由にやっていいのかを示すことが、権限を与えるということです。
さらに、「権限が足りないと感じたら報告してください」と伝えておくことで、後から「権限がなかったから達成できなかった」と言い訳されてしまうことを防ぐことができます。
また、部下は自分の責任を達成するために、追加の権限が必要だと感じれば、どんどん上司に相談するようになります。
このように、上司と部下の間で責任と権限の認識のズレがない状態を作ることが大切です。
比較と平等
比較と平等のステップで大切なことは、次の4つです。
①比べることから逃げない
②環境への言い訳を認めない
③人間関係の問題を生み出さない
④マイナス評価を受け入れるようにする
一つ目のポイントは、比べることから逃げないです。
最近では、他人と比較しないことの重要性が言われることがあります。
しかし、人の上に立つ人は、人と比べるための仕組みを整える必要があります。
平等とは、全員が同じ報酬を受け取ることではありません。
頑張った人がちゃんと報われることです。
そのためには、誰が見ても明らかな基準、明文化された評価が必要になります。
明文化された評価があるからこそ、頑張った人がちゃんと報われるようになり、評価されなかった人は「次こそは頑張ろう」と思うことができます。
2つ目のポイントは、環境への言い訳を認めないです。
「今回は条件が悪かった」など、失敗を環境のせいにしていては成長できません。
そこで明文化された評価があることで、言い訳をせずに、その評価を受けていれるようになります。
また、環境への言い訳をさせないためにも、前のステップで出てきた、権限を与えます。
そのため、明文化された評価と権限を与えることによって、人は環境のせいにすることなく、試行錯誤して成果を挙げようとします。
3つ目のポイントは、人間関係の問題を生み出さないです。
人の悩みは、99%が人間関係と言われているように、仕事での悩みも人間関係から生じます。
仕組みのない属人化された組織だと、部下は上司にゴマすりをするようになります。
そういった環境では、人間関係の問題が多く、人間関係が上手くいかなった人は辞めていってしまいます。
それでは、仕事で成果を挙げることに集中することができないですよね?
そのため、上司が、えこひいきを許さないスタンスを取り、ルールで仕組み化することが大切です。
4つ目のポイントが、マイナス評価を受け入れるようにするです。
成果をあげなくても給料や評価に影響がないと、部下は「頑張らなくてもいいんだ」という意識を持ってしまいます。
それでは、部下は成長しなくなってしまいます。
そのため、もし部下の成績がよくない場合は、明文化された評価のもと、降格や降給といったマイナス評価を下すことも必要になります。
いったん降格をして、学ぶべきことを学んでもらい、今後さらに成長してもらうということが大切です!
この記事では、本書の書かれている仕組み化のステップから、重要なポイントだけをかいつまんで紹介していきました。
本書には、この記事で紹介しきれなかった、ポイントや実例について豊富に解説されています。
そのため、これからリーダーになるという方や、今後人の上に立つ人間になりたいと考えている方は、ぜひ本書を読んでみて下さい!!
ではでは。