今回は、山口周さん著の『外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術』を紹介していきます。
皆さんには、本を読んでもいまいち仕事に活かせない、どんな本を読めばいいのか分からないといった悩みはないでしょうか。
本書はそういった方に役立つ一冊です。
著者の山口さんは、20代で大手広告代理店、30代で外資系戦略コンサルティングファームで勤めた後、40代で組織開発を専門にする外資系コンサルティングで仕事をされています。
このようにバリバリのビジネスパーソンとして働いている著者ですが、大学で学んだのは美術史で、一度もビジネススクールに通って体系的に経営学を学んだことはないそうです。
山口さんは、読書による独学で経営学を学び、10年以上もコンサルティング業界で活躍されています。
そこで本書では、そんな山口さんの読書を仕事で生かすためのテクニックについて書かれています。
この記事では、本書の中からビジネスパーソンに必要な2種類の読書、仕事に活かすための読書術を紹介していきます!
読書を仕事につなげる技術の要約
ビジネスパーソンには2つの読書が必要
本書では、ビジネスパーソンには次の2つの読書が必要であると書かれています。
筆者は、ビジネスパーソンが継続的に高い知的生産性を上げるためには、2種類の読書が必要だろうと考えています。
それはビジネス書の名著をしっかり読む、いわばビジネスパーソンとしての基礎体力をつくるための読書と、リベラルアーツ=教養に関連する本を読む、いわばビジネスパーソンとしての個性を形成するための読書の2種類です。
ビジネス書の名著を読むことは大切なことですが、それだけでは周りと差をつけることができません。
レベルの高い集団になると、ビジネス書の知識は知っていて当たり前のものになるからです。
そこで、周りより抜きん出るためには、リベラルアーツ=教養が必要になるのです。
リベラルアーツは幅広いため、ビジネス書のように皆んなが皆んな、同じ本を読み同じ知識を持っているわけではありません。
そのため、ビジネス書の知識と、教養書の知識をかけ合わせることで、他の人には生み出せない、オリジナルの知的成果物を生み出すことができるのです。
そして、このビジネス書と教養書は、それぞれ読み方が異なります。
まずビジネス書は、狭く深く読んでいきます。
具体的には、名著を繰り返し読み、読書ノートにとるといったことはしません。
一方で教養書は、広く浅く読んでいきます。
あなたの興味や関心がある分野の本を幅広く読み、読んだら読書ノートをとっていきます。
なぜビジネス書と教養書で読み方が違うのか?
まずビジネス書で名著と呼ばれるものは、それほど多くはありません。
実際に本書では、本当に読むべきビジネス書が71冊厳選されております。
71冊と聞くと多く感じるかもしれませんが、逆にこれだけ読めばいいと考えると、読みきれない量ではないと思います。
そして、読むべきビジネ書は限られているため、狭い範囲を繰り返し読むことになります、
さらに内容もビジネスに直結しているものなので、読んだ後にすぐ実践をすることができ、ノートをとる必要がありません。
ですが、教養書はビジネス書とは真逆で、ジャンルが多岐にわたります。
さらにビジネスに直結している内容も少ないため、いつどんな時にビジネスで役に立つのか、本を読んでいる段階ではわからないことがほとんどです。
そのため、ビジネス書のように同じ本を繰り返し読んだり、学んだ知識をすぐに使って忘れないようにするというよりも、教養書は記憶に頼らず、忘れる前提で読むことが大切なのです。
脳にイケスを作って、そこで情報という魚を放し飼いするイメージです。
そこで、後で振り返ったり参照するために読書ノートを作成する必要があり、デジタルデータとして保存しておくことで、安心して忘れることができます。
おそらく、ここまでの説明でビジネス書の読み方は、問題なくイメージできると思います。
ですが、教養書の読み方については、なんとなくはわかったけど、具体的にどうすればいいか分からない方も多くいると思います。
そこで続いては、本書で解説されている教養書の読み方を紹介していきます。
教養書の読み方
まず教養書といっても、範囲が広すぎて何から読めばいいかわからないと感じる方もいると思います。
本書では、次の7つのカテゴリーがオススメされています。
①哲学(近・現代思想)
②歴史(世界史・日本史)
③心理学(認知・社会・教育)
④医学・生物学・脳科学
⑤工学(含コンピューターサイエンス)
⑥生物学
⑦文化人類学
このジャンルの中から、あなたが興味・関心を持てる本を探してみてください。
そして、教養書は次の3ステップで読んでいきます。
①線を引く
②5つ選ぶ
③読書ノートへ転記する
まずステップ1では、気になった文章全体に線を引きます。
この時のポイントは、文章の冒頭から末尾までしっかりと線を引くことです。
重要なキーワードだけに線を引くと、あとで読み返したときに文章がぱっと理解できません。
一回目の読書は、重要な箇所がどこにあるかを見つける作業になるため、重要なキーワードだけではなく、文章全体に線を引くことが大切です。
そして二回目の読書では、一回目に線を引いた箇所のうち、読書ノートに転記するところを選びます。
転記する箇所を絞る理由は、あまりに多いと転記する作業に嫌気がさしてしまうからです。
また、転記する箇所を絞るためには、優先順位の判断が必要になります。
そのため、どこが自分にとって重要なのかという深い読みがを行うことになるため、選ぶ過程で脳内に定着させることができるという効果もあります。
そして、ステップ3では転記をしていきます。
ここで大切なのが、ただ重要そうだと思った部分を転記するのではなく、必ずビジネスや実生活における示唆を書き出すことです。
どの教養書を読むかは、自分が面白いと思えるものを選ぶべきですが、読んでただ面白かったで終わってしまっては意味がありません。
楽しむ読書も大切ですが、仕事につなげるという真の目的を達成するためにも、ビジネスや実生活における示唆を書き出す必要があるのです。
例えば、アリの巣の中には、一定数怠けているアリがいないと緊急事態に対応できずに全滅するリスクが高るそうです。
そこから、「今の仕事をチーム全員が100%の力を出し切るように割り振ってしまうと、急な仕事が入ったり、環境が変化すると対応できなくなってしまう」という示唆を考えることができます。
他にも、本棚をいつもパンパンに埋めてしまっていると、新しい本を買っても入れるスキマがなく、急に欲しい本があっても買えなくなってしまうといった示唆も考えられると思います。
このように、ビジネスや実生活での示唆を考える際は、直接的な関係はなさそうなことでも、思いついたことや閃いたことを書き出していきましょう。
そして、最後に考えた示唆から具体的なアクションの仮説を作ります。
例えば、ビジネスの例では「人を一人増やして皆んなが8割くらいの力で仕事を終えられるようにする」「個々が得意な仕事を割り当てて、9割の時間で仕事を終えられるようにする」といったことが挙げられると思います。
本棚の場合は、3冊は入るように常に空けておくというアクションが考えられると思います。
このように、教養書で面白いと感じた部分から、ビジネスや実生活の示唆を考え、そこから具体的なアクションの仮説を作ることで、仕事につなげることができます。
そして、転記した内容はデジタルデータとして残しておきます。
本書では、エバーノートを使うことがオススメされています。
もちろん、他のものでも大丈夫ですが、一つだけ外せない条件があります。
それが、後から制度の高い検索ができることです。
後でも簡単に検索ができるからこそ、安心して忘れることができ、必要なときに情報を取り出すことができるのです。
紙のノートにまとめてしまうと、必要な情報を探し出すのに時間がかかってしまいます。
またノートの冊数が多くなってきてしまと、どこにどの情報が載っているのかが分からなくなってしまい、見つけられなくなってしまいます。
そのため、転記する内容はエバーノートなどでデジタルデータとして保存しておいて、必要なときにさっと調べられるようにすることが大切です。
本書では、この記事では紹介しきれていない読書術がまだまだ紹介されています。
また記事内でも触れた通り、著者が厳選した71冊も、これから読む本を決める上でとても参考になると思います。
そのため、読書で学んだことを仕事で生かせるようになりたい、ビジネスで活躍している人がどんな本を読んでいるのかを知りいたいという方は、ぜひ本書を読んでみてください!
ではでは。