今回は岩尾俊兵さん著の『世界は経営でできている』を紹介していきます。
皆さんは、仕事や勉強、人間関係など日常のあらゆる場面でうまくいかないことはないでしょうか?
もしかしたら、うまくいかないのは経営不足が問題かもしれません!
日常の問題の原因が経営不足とはどういうことなのか?
本書では東大初の経営学博士である著者によって、その理由について書かれています。
この記事では、その本書の中から日常は経営でできているということ、そして経営不足から起こる日常の問題を3つ厳選して紹介していきます。
世界は経営でできているの要約
日常は経営でできている
皆さんは、日々の生活を経営を意識して過ごしているでしょうか?
お金を使うとき、家族と接するときなど、毎日経営を意識しているという方は、ほとんどいないと思います。
むしろ、経営とは企業がやることであり、個人には全く関係のない話だと思われるかもいらっしゃるかもしれません。
しかし、本書では私たちのあらゆる日常、人間活動は経営によってできていると書かれています。
本書で書かれている経営とは、当然企業のお金儲けのことではありません。
企業=企業のお金儲けと考えてしまっていることによって、正しい経営を行うことができず、不条理と不合理が生まれ、人生のあらゆる場面でうまくいかなくなってしまうのです。
では経営とは何なのか?
本書では、次のように書かれています。
本来の経営は「価値創造(他者と自分を同時に幸せにすること)」という究極の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を作り上げること」だ
『世界は経営でできている』より
多くの人は、自分が人生を経営しているということに気がつくことができていません。
その上、本来の経営概念を理解できていないからこそ、あらゆる場面において、価値創造を達成するための行動を取ることができずに、結果的に苦しんでしまうのです。
本書では、その15のトピックについて、実例が紹介されています。
この記事では、その中から貧乏、勉強、虚栄の3つについて紹介していきます。
貧乏は経営によって生まれる
皆さんの周りには、裕福そうな見た目をしている人はいないでしょうか?
もちろん、本当に裕福な場合もありますが、中には儲かっているアピールをするためにお金を使いすぎてしまい、生活費はカツカツだという場合もあります。
他にも、毎回スマホの最新作が出るたびに、意味もなく買い替えてしまい、毎月の支払いに追われていたり、人に見栄を張るためだけに奢ってばかりなんて人もいると思います。
どんなに収入が高かったとしても、出ていく支出が多ければ、誰でも貧乏になってしまうのです。
ですが、お金を一切使わなければ貧乏にならないのかというと、そうわけではありません。
支出を切り詰めようとするあまり、生きるのに必要なお金以外は一切使わなければ、何の経験をすることもできずに人生を終えてしまう可能性もあります。
またお金を貯めようとするあまり、働きすぎてしまい、時間に余裕がなくなってしまうこともあります。
貧乏とは手持ちのお金が少ないことだけではないのです。
貧乏とはお金に加え、時間、知識、信頼など様々な資源の収入と支出のバランスが崩れている状態なのです。
これらの資源は、どれか一つでも収入と支出のバランスが崩れてしまうと、他のバランスも崩れてしまうのです。
お金のバランスが崩れてしまっては、お金を稼ぐために働く時間を増やさなければいけないため、時間貧乏になってしまいます。
また自己投資ができなくなってしまうため、知識貧乏になってしまいます。
さらに時間貧乏になってしまっては、他人と関わる機会を持つことができずに、他人との信頼を築くことができません。
このような貧乏にならないようにするためには、何をするときにも自分は自分は何をしたいのかを自問自答することが大切です。
自分は何のために最新機種のスマホを買うのか、何のためにその人に食事を奢るのか。
何のために生活費をギリギリまで切り詰めるのか。
何のためにを自問自答することで思い込みによって起こる無駄使いや誤った優先順位付けから逃れることができます。
また目的に対して、現在の手段が適正かを考えることも大切です。
食費が苦しいという家でも、もっている家電はどれも最新式ということもあります。
また補助金をもらっても、生活費の足しにするのでなく、ブランド物など高級品を買ってしまうというケースもあります。
そのため、貧乏になってしまうことを防ぐためには、自分はその資源を使って何をしたいのかを自問自答すること、また目的に対して現在の手段が適正かを考えることが大切なのです。
本書では、今回紹介した方法以外にも、貧乏を回避するための方法が紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
勉強も経営でできている
皆さんは、教科書にマーカーを引くことに力を入れすぎてしまった経験はないでしょうか?
実は私も新しい勉強を始めた時に、張り切ってしまい、あれこれと線を引っ張ってしまい、後から見たときにどれが本当に重要なのかわからなくなってしまうことがありました。
人が向けられる注意の総量は決まっているため、線をたくさん引けば引くほど、一つに向けられる注意が減ってしまい、注意散漫になってしまいます。
これでは、勉強をした時間は無断になってしまいます。
当然、無駄な勉強法ばかり繰り返していては、勉強をしても意味がないという考えが染み付いてしまい、勉強が嫌になってしまいます。
ですが、私たちは学校を卒業した後も勉強をしなくてはいけません。
仕事の勉強、資格試験の勉強、資産形成の勉強、料理の勉強など、様々な勉強を行っていかなければいきません。
そこで勉強では、つながりとばらつきを経営する必要があります。
まず勉強とは、全体を部分に分けることができます。
英語のリーディングであれば、語彙、文法、読解力といった要素に分けることができます。
単語だけできても英語はできないように、複数の要素がつながることで全体になるのです。
そして、それぞれの部分的な要素の習熟度にはばらつきがあります。
文法は理解できていても、単語を覚える逃して苦手であったり、その逆のパターンもあると思います。
理解が弱い部分がボトルネックとなって、全体の理解度を下げてしまうのです。
そのため勉強は、はじめに全体観を把握して、最も弱い部分を補強していくことが大切なのです。
最も弱い部分を補強すると、次は別のところで弱い部分が見つかると思います。
そうしたら、またその部分を補強することで、さらに弱い部分を見つけていきます。
これを繰り返していくことで、補強する部分が変化していき、徐々に全体の理解へと近づいていくのです。
このつながりとばらつきを経営しないまま勉強を進めようとすると、自分の得意なところばかり勉強したり、全体とは関係のない豆知識などばかり覚えるようになってしまいます。
それでは、勉強をやった割に全体の理解へとつながらなくなってしまうので、多くの時間と労力を無駄にしてしまうことになります。
そのため、勉強はつながりとばらつきを経営することが大切なのです。
私のyoutubeチャンネルでは、効果のある勉強法について書かれてた『勉強脳』の紹介動画をあげています!
こちらでは、記憶に残る読み方をメインに紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみて下さい!
心労も経営でできている
皆さんは、他人の言動が気になりすぎてしまうことはないでしょうか?
相手からラインの返事が来ないため、何度もスマホを開いては既読になっていないかを確認してしまうということもあると思います。
中には、何度も確認しているか催促のメッセージを送ってしまうという方もいるかもしれません。
本書では、こういった気にしすぎも経営の失敗によって生まれると書かれています。
ラインの返事がなかなか来ないケースも、自分が勝手に嫌われているのかもしれないと自分から最悪な状況を想定して、心労を抱えてしまう状況を作ってしまっているのです。
実際には嫌われていたわけではなく、相手のスマホの充電が切れていた、家のスマホを忘れて出掛けに行ってしまっていたなんてことが、返事が遅くなった原因であることもあります。
他にも、部下の仕事に過干渉になってしまい、部下から仕事を任せてもらえない、細かくてうるさい上司と言われてしまうケースもあると思います。
こういった気にしすぎや過干渉を防ぐためには、どう経営していけばいいのか?
本書では、生活や仕事における最終的なゴール=目的を常に意識する必要があると書かれています。
心労は、ゴールではなくプロセスに目が行ってしまい、気にするから気になってししまい起こってしまうのです。
またプロセスに目が行ってしまうと、常に最適解を求めすぎるようになってしまいいます。
部下の仕事を過干渉してしまうのも、今はこうした方がいい、次はこうした方がいいと、一挙手一投足気になってしまうからこそ、起こってしまうのです。
ですが、日常において毎回最適解を求める必要はありませんし、毎回最適解が見つかるかもわかりません。
だからこそ、周りが最適な行動をとっていないように思えたとしても、最終的にゴールに到達できるのであればいいと吹っ切れてしまうことが大切です。
またゴールに到達できなくなりそうな場合だけ、自分が動けばいいと決めておくことで、楽になることができ、無駄な心労を防ぐことができるのです。
本書では、心労について周りの音や光など、環境によって起こってしまうものの対処法についても書かれています。
そのため、色んなことに反応してしまい、疲れてしまっているという方は、ぜひ本書を読んでみてください!
本書では、この記事では紹介しきれていない経営不足によって起こる、不合理や不条理の例がまだまだ紹介されています。
本書を通して、日常を経営の視点から考えてみると、今までなんとなくやってしまっていたことが、論理的ではないことだったのかと新たな視点を持つことができます。
そのため、興味のある方はぜひ本書を読んでみてください!
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ではでは。