今回は、森永卓郎さん著の『投資依存症』を紹介していきます!
皆さんは、今投資をしてはいけない!投資をすることは危険な行為だ!と言われたら、どのように感じるでしょうか?
おそらく、新NISAも始まり、いろんなところで言われているように、今は投資で資産形成をするのが当たり前だから、投資をしたほうがいいんじゃないか?と思われる方もいるかもしれません。
本書はそういった方にこそ読んでほしい1冊です!
わたくも以前から積み立て投資を続けておりましたが、どこか長期投資をしておけば、どこか将来は安心だ、お金が勝手に増えていくと考えていました。
しかし本書では、多くのところで言われていることとは逆で、今後バブルが崩壊し、日本中に破産者が増えてしまうと書かれています。
そこで、本書では経済アナリストとして、長年ご活躍されている森永さんによって、なぜ投資が危ないのか、またなぜ今後バブルが崩壊するのかについて解説されています。
この記事では、その本書の中から、投資の本質はギャンブルであるということと、指標はバブルの満期を示しているの2つについて紹介していきます!
投資依存症の要約
投資の本質はギャンブルである
多くの人は、投資はギャンブルとは違うと考えていると思います。
私も投資はギャンブルとは違うと考えていましたが、本書では、投資の本質はギャンブルと同じであると書かれています。
ギャンブルでは、勝つ人がいれば、その分負ける人もいるため、全体のパイが増えることはありません。
一方で投資の場合は、ギャンブルのようなゼロサムゲームではなく、パイが増えていくプラスサムゲームです。
さらに、これまで長期的に見ると、ニューヨークダウも日経平均株価も必ず上がってきています。
そのため、長期で考えたら投資をした方がいいと考える人が多いと思いますが、本書では、その理解は根本的に間違っていると書かれています。
その理由は、お金が自動的に増えることはないからです。
現代の紙幣は、国債を裏付けに発行されます。
そして、その国債は労働のかたまりなのです。
例えば、政府が高速道路を作るための資金を調達するために国債を発行するとします。
高速道路を作るためには、国民が働かなければいけません。
それに加えて、作っている段階では高速道路の恩恵を受けることができません。
そこで今後、作られた高速道路の恩恵を受けることができる将来世代が、その対価を支払う必要があり、そのために国民は国債の返済のために働くのです。
そのため、国債とは労働のかたまりであると考えることができ、国債を裏付けに発行されるお金も労働のかたまりであると言えるのです。
そして、お金が労働のかたまりであるということは、働くことでしか増やすことができず、お金が自動的に増えることはないのです。
お金が自動的に増えることはないからこそ、投資でもお金全体が増えることはなく、その中で勝つ人と負ける人が生まれているだけなのです。
だからこそ、森永さんは、投資とは本質的にはギャンブルと同じであると書かれています。
では、なぜ株式市場に投資をしたお金が増えたように見えるのか?
本書では、格差の拡大とバブルの2つが理由であると書かれています。
格差には、男女間や地域間など様々な形があります。
その中には、資産家が労働者への報酬を抑制することで起こる格差があります。
世界的ベストセラーとなった、『21世紀の資本』の中で、トマ・ピケティは「r(資本の収益率)>g(経済成長率)」という法則を書いています。
資本の収益率とは、資本家がお金を増やすスピードであり、いつの時代も5%程度で安定していると、ピケティは書いています。
資本家は、景気が良くても悪くても、毎年5パーセントずつ確実に増やし続けてきたということであり、そのためには、本来労働者に分配しなければならない付加価値を横取りすることもあるのです。
かつての日本では景気が悪ければ、株主の配当も無配になり、従業員の雇用と給与が優先されていました。
しかし、今では株主への配当や経営者の報酬を拡大することが優先して、その分労働者の報酬を抑制するようになっているのです。
実際に、現代ビジネスの記事の中では、トヨタの社員は2003年〜2023年にかけて上がった給与は11%で、手取りは60万円しか増えていないが、一方で営業利益÷従業員で求められる労働生産性は1.5倍に成長していることが指摘されています。
さらに、豊田章男会長の2023年3月期の役員報酬は、前年と比べて46%増の9億9900万円になっているのです。
このような、労働者の報酬を抑制する動きは、低成長下でも行われ続けてきています。
ですが、このやり方は無限に続けることはできず、限界が近づいて来ていると本書で書かれています。
労働者の報酬を抑制し過ぎれば、当然、労働者は生活することができなくなってしまい、消費をすることもできず、企業の利益が上がらなくなってしまうからです。
今回紹介した資産家と労働者の格差以外にも、強者の企業と弱者の企業との格差や、地域と都会の格差など、様々な格差の拡大により、平均株価は押し上げられてきています。
ですが、株価が上がるのには、格差の拡大のほかにバブルがあります。
この世界は200年間の間に、70回以上のバブルを経験してきています。
そして、今まさにバブルが起こっている状態であり、今後史上最大の暴落が起こると著者は考えています。
続いては、その理由について紹介していきます。
指標はバブルの満期を示している
最近、日経平均は今後さらに成長をするといったことが、よく言われています。
実際に私が過去に紹介した、エミン・ユルマズさん著の『エブリシングバブル』の中でも、日経平均株価は今後50万円になると書かれています。
しかし、本書では、2つの指標から、今はバブルの満期であると書かれています。
一つ目がノーベル経済学賞を受容した、ロバート・シラー教授が発明した「CAPEレシオ」です。
「CAPEレシオ」とは、株価の割安・割高を判断するPER(株価収益率)の考えを応用したもので、物価変動の影響を補正した上で10年間の利益の平均額を使って、PERを計算したものです。
S&P500の「CAPEレシオ」の推移を見てみると、25倍を超える期間がある程度続くとバブルが崩壊していることがわかります。
ITバブルでは79ヶ月、リーマンショック前が52カ月でバブル崩壊しているのです。
では現在はどうかというと、CAPEレシオは30倍を上回っており、さらに25倍を超える期間が120ヶ月も続いているのです。
そのため、今まさにバブルが起こっている上に、いつ崩壊してもおかしくない、満期に来ていると考えられます。
さらに、投資の神様として知られるウォーレン・バフェットが考案したバフェット指数によると、ここ最近の株価は、本来の2倍近く割高になっていることが示されています。
このように、バブルは今まさに起こっており、今後史上最大の暴落が起こる可能性があるのです。
とはいえ、中には「もしバブルが崩壊したとしても、いずれ回復するのだから、長期投資を続けるべき」だと考える方も多くいると思います。
実際に私がこれまで読んできた投資にまつわる本では、そのようなことが書かれていることが多かったです。
しかし、森永さんは、今後起こる史上最大の暴落の後には、株価が戻ってこない可能性が十分にあると考えています。
その理由は、資本主義が終わりを迎えるからです。
暴落が終わったとしても、またバブルが起これば、株価が戻り、あがります。
しかし、資本主義が終わってしまっては、バブルは起こりません。
そのため、資本主義が終わってしまったら、暴落後は株価が戻ってこない可能性があるのです。
では、なぜ今後資本主義が終わってしまうのか?
本書では、マルクスが資本主義が行き詰まると予見していた4つの理由が紹介されています。
①許容できないほどの格差
②地球環境破壊
③少子化
④ブルシットジョブの蔓延
『投資依存症』より
これらは、以前からも問題だと言われておりましたが、問題は改善されるばかりか深刻化しており、資本主義の末期状態を表していると本書で書かれているのです。
以上、ここまで今まさにバブルが起こっており、今後暴落が起こること、そして暴落後は、資本主義の終焉により、株価が戻らない可能性があることを紹介しました。
もちろん、未来のことは誰にも正確に予測することはできないので、本書で書かれている通りにはならない可能性もあります。
しかし、あらゆるところで投資をするメリットに流されて、安易に投資をしておけば大丈夫、老後は安泰だと考えるのではなく、今後暴落をする可能性があることも十分に踏まえて、情報を集めることが大切だと思います。
本書では、この記事では紹介されていない、今投資をするべきではない理由について、まだまだ書かれています。
そのため、投資のいいところだけでなく、投資の危険性もちゃんと知っておきたいという方は、ぜひ本書を読んでみてください!
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ではでは。