今回は、国分峰樹さん著の『替えがきかない人になるための専門性の身につけ方』を紹介していきます。
少し前から、これからの時代を生き抜くには、専門性が必要だと言われるようになりました。
誰でもできる仕事には価値ない、専門性のない人はAIに取って変わられる、だから専門誌を身につけるべきだと言われています。
ですが、専門性とはどうやって身につけたらいいのでしょうか?
また、そもそも専門性とは何なのか?
そこで、本書では、電通で働きながら、大学講師としてのキャリアも持つ著者によって、社会人がどうすれば専門性を身につけられるのかについて解説されています。
この記事では、本書の中から、ビジネスパーソンがおちってしまう失敗、専門性とは何か、また専門性の身につけ方について紹介していきます!
替えがきかない人になるための専門性の身につけ方の要約
専門性が身につかない理由
本書では、多くのビジネスパーソンが陥りがちな専門性が身につかない理由として、次の4つを挙げています。
①すぐに役立ちそうな知識を吸収しようとする
②年収をアップさせるために勉強するけど
③過去の実績や経験に価値を置いている
④仕事に直結する専門分野しか目に入らない
それぞれの理由について詳しく紹介していきます。
まずは、すぐに役立ちそうな知識を吸収しようとするです。
すぐに役立ちそうな知識を身につけることは、すぐに結果が出るため、よく思えるかもしれません。
しかし、すぐに身につく知識というものは、すぐに役に立たなくなります。
目まぐるしく変化していく現代社会においては、役に立つ知識の賞味期限は短くなっています。
その中で、すぐに役立ちそうな知識を身につけたとしても、少したつと使えなくなります。
そこで、またすぐに役立ちそうな知識を身につけるということを繰り返していても、浅い知識、しかも使えなくなった知識が積み重なっていくだけで、専門性を身につけることはできません。
そのため、専門性を身に付けたいなら、すぐに役立つ知識を学ぶべきではないのです。
続いてが、年収をアップさせるために勉強するです。
専門性を身につける目的が、もっと年収を上げたいからという方もいるかもしれません。
しかし、お金をモチベーションにした勉強はどこかで限界が来ます。
専門性というものは、一朝一夕で身につくものではありません。
だからこそ、自分が興味や関心を持てるもの、自分が好きなものについて学ぶことが大切なのです。
3つ目の理由が、過去の実績や経験に価値を置いているです。
学びよりも過去の実績や経験に価値を置いていると、専門性がアップデートされず錆びついてしまいます。
先ほども触れた通り、知識の賞味期限が短くなってきています。
さらに、ビジネスで価値を生む専門性の移り変わりが早くなってきています。
その中で、過去の実績や経験に価値を置いていると、どんどん時代に置いてかれてしまいます。
マーケティングの世界でも、デジタルマーケティングが主流になって以降、デジタルを中心に回っている世界を前提に置いていないマーケティングの理論は、ほとんど使いものにならなくなっているそうです。
最後の理由が、仕事に直結する専門分野しか目に入らないです。
専門性を身につけるためには「やった方がいい」「やらなきゃ」よりも、「やりたい」という気持ちを推進力にした方が、断然早いと本書では書かれています。
また現在は、以前よりも転職が当たり前の時代になってきました。
今勤めている会社や業界に、あなたが5年後、10年後もいるかどうかわかりません。
むしろ、新しい会社や領域で働いている可能性が高いです。
そのため、今の仕事に直結する専門分野だけでなく、自分が面白いと思える分野に目を向けて、専門性の身につけ方を習得する方が、長い人生において強力な武器になります。
ここまで多くのビジネスパーソンが陥ってしまう、専門性が身につかない4つの理由について紹介してきました。
残念ながら、どんな専門性を身につければ一生安泰かという答えはありません。
今役に立つ知識でも、来年再来年に役立つかどうかわかりません。
だからこそ、すぐ役立つ知識を求めるよりも、まずは専門性の身につけ方を身につける方が大切です。
専門性の身につけかたがわかれば、どんな領域であったとしても、専門誌を身につけることができるからです。
そのため、この動画でも本書から専門性の身につけ方を紹介していきますが、まずはそもそも専門性とは何なのかについて紹介していきます。
専門性とは何か?
本書では、専門性とは専門知識のインプットではなく、専門知識のアウトプットであると本書では書かれています。
専門性を高めるというと、どうしてもインプットばかりに目がいってしまうかもしれません。
しかし、ChatGPTがどんどん進化していく現代において、専門知識を知っているだけというのは、何の役にも立ちません。
そのため、専門知識をアウトプットする、新しい専門知識を生み出すことが大切なのです。
では、その専門知識とは具体的に何なのか?
本書では、専門知識とは体系化された知識である書かれています。
個々の知識を持っていたとしても、それが体系化されておらず、頭の中でバラバラな状態であれば、それは専門知識を持っているとは言えません。
それぞれの知識の関連性や、全体としてどういった構造になっているのかがが分かって、ようやく専門知識を持っていると言えます。
自分の頭の中で知識が構造化されていれば、新しい知識が入ってきた時にも、構造の中に組み込んだり、構造を組み替えることができます。
本書では、専門知識についてレゴブロックに例えて解説されています。
レゴブロックは一個一個のブロックが他のブロックと連結して組み立てられるのを待っています。
自分の頭の中に全体的な構造のイメージがあれば、知識もレゴブロックのように、他の知識と連結させながら組み立てていくことで、大きな建築物を作ることができるパーツとしての意味を持つといえます。
では、どうすれば新しい専門知識を生み出すことができるのか?
本書では、研究することがその答えであると書かれています。
知識は進化していきます。
新しい情報や視点が加わることで、知識は変化していきます。
わかりやすい例ですと、がんの治療法です。
がんの治療法は、研究が進むにつれて、年々進化しており、より効果的な治療法が開発されています。
このように、知識は進化していくものであり、進化させるためには研究を行う必要があるのです。
先ほどもレゴブロックの例を借りると、新しいパーツを加えたり、つなげ方を変えることで、新しいものを作り出すことができます。
ここまで、専門性とは何かということを紹介してきました。
では最後に、その専門性を身につけるための3ステップを紹介していきます!
専門性を身につける3ステップ
本書では、次の3ステップが専門性を身につける型であると書かれています。
①自分らしい問いを立てる
②オリジナリティを発見する
③多様な意見を尊重する
まずは自分らしい問いを立てるです。
このステップでのゴールは、「自分ならではの視点を疑問文の形で表現すること」です。
この問いを立てるという行為は、特に多くの人が苦手としていることだと思います。
特に日本の教育を受けて、受験勉強をしてきた人は、自分で問いを立てるという経験をしたことが、ほとんどないと思います。
そのまま社会人になってしまうと、今度は会社から与えられた仕事をこなすだけになってしまいます。
そのため、多くの日本人にとって、問いを立てることは難しく感じてしまうのです。
しかし、専門性を身につける上では、この問いを立てることが出発点になります。
そして、問いを立てる上で重要なのが、どんなことでも研究テーマになるということです。
あなたが好きなことについて、問いを立てていきましょう。
ポイントは、言われてみればちょっと気になるけど、簡単には答えられない問いを立てることです。
私は、ポケモンカードが好きなのですが、少し前からポケモンカードは転売ヤーの対象になっています。
ニュースにもなっていましたが、新しい商品が発売すると、前日の夜から列ができます。
そのため、個人的にはなぜ転売ヤーはポケモンカードを手に入れるのに必死なのかということを研究したら面白そうだなと思いました。
お金を稼ぐためといえ、前日の夜から手に入るかわからないもののために並んだり、1日に何店舗も巡るのは、とても労力のいることです。
なぜそこまで必死になれるのかを研究することで、若者の労働観であったり、会社でもどういった働き方なら熱心に働けるのかといったことが見えてくるかもしれません。
そうすれば、他の人とは違った視点からキャリアについてアドバイスができるようになることができ、価値を生み出すことができるかもしれません。
このように、専門性を身につけるための問いは、どんなことでも研究テーマとなります。
本書にもいくつか例が載っていますので、ぜひ参考にしてみてください。
続いてのステップがオリジナリティを発見するです。
その人しか持っていないオリジナルだからこそ、専門性に価値が生まれます。
そこで、新規性と独自性が必要になります。
その新規制と独自性を生むためには、すでに誰がどんな問いを立て、どんな答えを出したかを知らなければいけません。
その上で、過去に誰も同じ問いを立てた人はいなかったことを説明する必要があります。
そこでステップ2では、過去の文献をあたり、「すでにある知識の集合」を調べ、すでに分かっていることを整理して、自分の問いがまだ分かっていないことだということを明確にしていきます。
そして、自分の知識を手っ取り早く差別化する方法として、本書では論文を読むことが挙げられています。
論文は、その専門領域における最先端の知識の宝庫です。
さらにビジネスパーソンは、本を読むことはあっても、論文を読むことはほとんどありません。
そのため、論文を読むだけでも、周りと差別化するからことができるのです。
論文というと、少しとっかかりづらいかもしれませんが、実は15ページ前後にまとめられており、本よりも短いです。
さらに論文では先行研究の検討が必ず行われているため、すでに分かっていることが簡潔にまとめられています。
そのため、すでにある知識の集合を知るのに、うってつけなのです!
論文の探し方や選び方については、本書で詳しく解説されていますので、ぜひ参考にしてみてください!
では最後のステップが、多様な意見を尊重するです。
最後のステップでは、自分で立てた問いに対して答えを出します。
そのためには、自分の立てた問いを小さな問いにブレイクダウンして、小さな問いに一つずつ答えを出していきます。
小さな問いに分解するためには、因果関係(なぜ?)や実態(どうなっているか?)を問うような投げかけをしていきましょう。
私の先ほどの転売ヤーの例ですと、なぜ会社に働かず転売ヤーなのか、どうして前日の夜から並ぶことができるのかといったように小さな問いへ分解することができます。
そして小さな問いへ分解することできたら、それらの問いに答えていきます。
この小さな問いへの答えを出す上で大切なのが、多様な他者と議論することです。
自分とは違う考えを持つ人と議論をすることで、新たな視点を手に入れることができます。
多様な人々や意見が交わることで、新たな発見やイノベーションが生まれます。
そこで大切になるのが、ステップ3の多様な意見を尊重することです。
自分とは反対の意見を受け入れることは、簡単なことではないと思います。
しかし、自分の考えだけに固執していては、狭い解釈しかできず、新たな専門知識をアウトプットすることができません。
そのため、多様な意見を尊重し、取り入れることで、新しい視点を手に入れることが大切なのです。
そして、その新しい視点が、新たな専門知識のアウトプットにつながっていきます。
ここまで専門性を身につけるための3ステップを紹介してきました。
この記事では、それぞれのステップについて、おおまかな内容しか紹介できていません。
本書では、もっと細かく深く解説されていますので、専門性を身につける方法を知りたいという方は、ぜひ本書を読んでみてください。
ではでは。