今回は、高松智史さん著の『コンサルが「マネージャー時代」に学ぶコト』を紹介していきます。
著者の高松さんは、ボストンコンサルティンググループという、世界トップレベルの経営コンサルティング会社で、コンサルタントとして活躍され、マネージャーも務められていました。
本書は、そんな著者によって、コンサルがマネージャー時代に学ぶこと、そして学ぶべきことが書かれています。
そのため、本書を読むことでトップレベルの会社のマネージャーの仕事術、考え方を学ぶことができます。
この記事では、本書の中から、これからの時代に必要なリーダーシップについて、そしてそのリーダーシップを発揮するための方法を紹介していきます。
コンサルが「マネージャー時代」に学ぶコトの要約
インテレクチュアルリーダーシップを磨け!
インテレクチュアルとは、英語で「知的な」という意味があります。
インテレクチュアルリーダーシップは、筆者の造語ですが、要は頭の良さや頭の使い方で、リーダーシップをとるということです。
これまでは、メンバーに対して、「頑張って、ありがとう」など鼓舞したり、進捗確認をして尻たたきだけしていればよかったかもしれません。
また、在籍年数が長さや過去の実績だけで下がついてきてくれていたかもしれません。
残業しろ、休みの日も仕事をしろ、飲み会は絶対参加だ、など頭を使わずに指示をしても、下はついてきてくれました。
ですが、これまで時代に助けられ、甘やかされてきたマネージャーのリーダーシップでは、これからの時代は通用しません。
実際に、言葉だけで励ますだけの上司は、「優しいけど、困ったときに相談しても解決してくれないよね」などと無能扱いされてしまうと思います。
また、権力を振りかざすだけで、知恵を振り絞らない上司のもとでは、優秀な人もどんどんと辞めていってしまいます。
そのため、これからはインテレクチュアルで引っ張っていく必要があるのです。
メンバーとミーティングをする時にも、ただ進捗を聞いて、うなづいて終わりではなく、新しい視点をもらえた、その手があったのかと思ってもらえるようにしなくてはいけないのです。
そういった、頭の使い方で引っ張っていくリーダーシップが、これからの時代は求められるのです。
本書では、このインテレクチュアルリーダーシップの発揮の仕方が、たくさん紹介されています。
この記事でも、その方法をいくつか紹介していきたいと思います。
タスクじゃなくて論点マネジメントしろ!
部下に仕事を与えることは、マネージャーの仕事の中でも多くあることだと思います。
しかし、部下に仕事を与える時に「このデータをまとめておいて」「資料をまとめておいて」など、タスクだけを伝えてはいけません。
一見、タスクを部下に与えることは当たり前の光景に思えるかもしれませんが、タスクだけを与えてマネジメントすることは、インテレクチュアルリーダーシップではありません。
インテレクチュアリーダーシップを発揮するためには、タスクではなく論点をマネジメントする必要があるのです。
タスクには必ず、そのタスクで解決するべき問題は何かという論点があります。
その論点を伝えずに、タスクだけを部下に振っていては、出来上がったものが想定とは違うなんてことが起きてしまいます。
そこで、お客様はこういった問題を抱えている、この問題を解決するために○○な情報が必要だ、そのためにデータをまとめてほしいと伝えることで、部下はデータをまとめることで、何を解決するべきかが見えてくるため、アウトプットが想定と違うということがなくなるのではないかと思います。
本書では、アウトプットには次の6つのステップがあると書かれています。
ロ→サ→T→ス→作→ア
この公式の意味について、本書では次のように書かれています。
論点をマネージャーからプレゼントされたら、サブ論点(含めサブサブ論点)を立てる。その上で、TASKを設計しスケジュールに落とし込む。
そこまで来たら「無心」で作業に没入し、作業をし終わったところでアウトプットとして形作っていく。
マネージャーの仕事は、この公式の論点とサブ論点をマネージすることなのです。
もし部下が立てたサブ論点が違っていたら、こっちのサブ論点の方がいいのでは?このサブ論点は後回しでいいよといったように、論点を進化させてあげることが、マネージャーの仕事になるのです。
サブ論点までマネージすることができたら、後はメンバーにタスクを設計してもらい、その後のステップへと進んでもらうことで、メンバーから希望がない限りはマネージャーは放置することができます。
逆にタスクマネジメントをしてしまうと、マイクロマネジメントにつながってしまいます。
タスクマネジメントで進捗管理をしていると、あれはやった?これはやった?と細かく確認したくなってしまいます。
それは、論点とサブ論点がどうなっけ?と頭の中に残ってしまってい、大丈夫かな?変なことしていないかな?と考えてしまうからです。
細かく確認されてしまうと、メンバーとしては信頼されていない感じがしてしまい、気分良く働くことができなくなってしまいます。
そのため、タスクではなく論点でマネジメントすることが大切なのです。
正しい評価基準の立て方
ビジネスでは、意思決定をしなければいけない場面がたくさんあります。
そして、意思決定をするうえで大切なのが、評価基準を立てるということです。
この評価基準がブレブレだったり、誤ったものになってしまうと、正しい意思決定をすることができません。
逆にこの評価基準がしっかりとしていれば、他の人にやってもらってもいいのです。
そのため本書では、評価基準はインテレクチュアルリーダーシップのセンターピンであると書かれています。
ではどうすれば、正しい評価基準を立てることができるのか?
本書では、評価基準を立てるときの心得は6つあると書かれています。
①FACT→評価基準ではなく評価基準→FACT+推測
②目的/ゴールは評価基準にならない
③評価基準のイメージはサイコロ。合言葉は「あっちから見るとこうみえる。だが、あっちから見るとこうなってしまう」
④評価基準を立てたら何をもって(それを測るわけ?)
⑤突き詰めると、「こっちの基準を重く見るならこっち。あっちの基準を重くみるならあっち。」
⑥評価基準の「信頼度」を高めるために、MECE/構造化を検討する
この記事では、まずおさえておくべきだと私が感じた①~④について紹介していきます。
まずは①FACT→評価基準ではなく評価基準→FACT+推測です。
評価基準は、今すぐ手に入る情報をもとの評価基準を作ってはいけません。
例えば、新しくツールを導入するために、3つのサービスから1つを選ぶ場合、すぐに手にい入る情報から評価基準を作ってしまうと、値段、サポート期間などが評価基準になってしまいます。
そんな評価基準で選んでしまっては、本当に自分たちにとって役に立つサービスはどれかを考えることができません。
そのため、評価基準は今集まっている情報に関係なく立てることが大切なのです。
2つ目の心得が②目的/ゴールは評価基準にならないです。
どのサービスを選ぶか考える際に、どれが生産性を上げるかといった目的を評価基準にしてはいけません。
その理由について、③の心得について、またどうすれば良いのかについては④の心得を見ていきましょう。
まず③の心得についてです。
評価基準というものはサイコロだと本書で書かれてるように、どの面をみるかで変わってしまいます。
使いやすさならAのサービス、データのまとめやすさならBのサービス、他のツールとの互換性ならCのサービスのように、何を重視するかで何を選ぶべきかが変わります。
何を重視するで変わってしまうからこそ、目的を評価基準にしてはいけないのです。
そこで、④の心得の評価基準を立てたら何をもって(それを測るわけ?)を考えることが大切なのです。
もし生産性を上げることという目的を評価基準にしてしまったら、何をもって生産性を上げたことになるのか?ということを考えていきましょう。
例えば、皆がデータをまとめる作業に多くの時間を取られてしまっているのであれば、データを入力すればすぐにまとめてくれることが生産性のアップにつながります。
このように評価基準を立てることで、使いやすさを売りにしたセールストークに誘惑されて何となくAのサービスをえらんでしまうということがなくなります。
またデータを効率的にまとめられるという評価基準を立てておけば、どのサービスが良いかの検討は、実際に使用する部下などにゆだねることも出来ると思います。
このように、何をもってその目的を達成したことになるのかを考えて、それを評価基準にすることで、正しい意思決定をすることができるのです。
ぜひ、皆さんも意思決定をする前に評価基準を立てること、そして6つの心得を意識して評価基準を立ててみて下さい。
本書では、この記事では紹介しきれていない、コンサルがマネージャー時代に学ぶことが、まだまだ書かれています。
そのため、一流のマネージャーになるためには
どうすればいいのかを知りたい方は、ぜひ本書を読んでみてください!
ではでは。